ハロが必要な安全面以外の「事情」
では、F1のスタイルをぼろぼろにしてまで何故ハロが必要なんだろうか。答えはモータースポーツとかレーシングではなく、F1の世間へ向けてのジェスチャー、アピールだと思うのだ。危険と背中合わせの各種スポーツは実に人気が高い。現在ではエクストリーム・スポーツは若者たちの花形なのだ。
冬期五輪のダウンヒルやクロスレース、そしてスケルトンやリュージュ、もちろんボブスレーも、彼らのオリンピックスポーツはスピードへの肉弾戦だ。
F1と同じ100分の1秒以下を争いながら、刹那の危険を技能と感覚と経験と訓練で抜けてゆく。こう考えると安全なF1は、遂に“ゆりかごの中にいるべビー”になってしまったと言ったら、SNSで炎上してしまうかなーっ?
とはいえ、一度装着された強度安全デバイスが放棄されることはないだろう。実際、F1が怖がっているのはドライバーの安全性ではなく、ドライバーが怪我でもした時にF1が被る大炎上の火の粉なのだと思う。
F1が安全対策を怠ったからこんな事故が、怪我人が、そして言いたくないけど運悪く命を落とす人でもいたら……「F1が」と言われてしまうのだから。
F1が保守的に安全性にヒステリックになり、自らエクストリーム・スポーツから日常の常識へと埋もれてしまえば、それはもうF1の看板は降ろした方が良いと思うのだが、これはこれでかなり“エクストリームな考え”ではあるのかな?
◆F1と奇抜なパーツの歴史
F1では、ドライバーの横にサイドポンツーンからニョキっと生えた「Xウイング」や“かものはし”と揶揄された「段差ノーズ」など、数多くの不格好なデバイスが登場しては消えた。
Xウイングは、1997年にティレルが採用し、各チームに広まったものの、1998年に禁止に。段差ノーズは、2012年の新規則によって生まれたが、翌2013年から段差を隠す化粧パネルの採用が認められ姿を消した。
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