トヨタが2017年に復帰し、ヤリス(日本名:ヴィッツ)で参戦しているラリー競技の最高峰、WRC(世界ラリー選手権)。その第9戦ドイチェランドが、いよいよ8月16日から開催される。
そして、同大会にはトヨタだけでなく、日本人自動車ジャーナリストの国沢光宏氏も参戦! WRCはマシン性能によってクラスが分かれ、総合優勝はトヨタ、ヒュンダイなどが最上位の「WRカー」で争うが、その下位に位置するクラスに、国沢氏はフォード・フィエスタでエントリーする。
日本での開催も現実味を帯びてきたWRC。その世界最高峰の舞台に、なんと約400万円で参戦できる!?
文:国沢光宏、ベストカーWeb編集部
1Lターボで180馬力のフィエスタで参戦!
今回、私が走らせるフィエスタ R2は、ヴィッツ級のボディに1L、180馬力の3気筒ターボを搭載したモデル(換算排気量1600㏄)。
もちろん、ドグミッションを採用した本格的なラリーカーで、サーキットで行うレースならF3のような若手の登竜門クラスなのだった。ローブやオジェ(ともにWRCチャンピオン)も、私が走らせるマシンで争われるJWRC(ジュニア世界ラリー選手権)でチャンピオンになったことがある。
なぜWRCなのか? 人間の原点は古今東西「踊る阿呆より見る阿呆。同じ阿呆なら踊らな損々」だと思う。WRCが日本に戻ってくる可能性が大きくなってきた。見に行こうと思っている人も多いんじゃなかろうか。
確かにWRCを見ると魂を持っていかれます。どんなスポーツでも当てはまることながら、同じ競技であっても“凄さ”が違うとまったく印象違う。
世界最高カテゴリーって誰が見ても輝いてる。車に興味ない人だってWRCを間近で見たら素直に感動します。
しかし! 何度も見ていると出場したくなってしまうのだった。WRCには過去2回半出場している。北海道(ラリー・ジャパン)が2回に、MIRAIで前走車として走ったドイツだ。いずれも見るよりずっとWRCを味わえた次第。
ということで日本にWRCが戻ってきたらぜひ出場したいのだけれど、今のレギュレーションだと、出場できる車がない。何とか出られる方法を探ったら、ヨーロッパではレンタルで出場する人も多いと聞いた。調べてみたら「なるほど!」。
WRCの気になる参戦費用は!?
ラリーカーレンタルのウェブサイトがあり、探すと多数出てくる。最後の目標はWRカーの下の『R5※』ながら、まだ「上がり」たくないので、まず『R2』か『R3』を考えた次第。
そこで片っ端から出走条件(金額)を問い合わせるメール送ってみた。そのなかで残ったのは『2B Rally』というチェコにあるルノースポールの代理店。ルノー・クリオのR3Tを車両のほか、サービス体制、保険、タイヤ、ガソリンなどすべて込みで約320万円。
ラリーのエントリー費と交通費+滞在費を100万円乗せても420万円あればなんとかなる。この年齢になれば大病など不運を一発食らったら出て行く金額だ。60年間無事に過ごせたお祝いとして考えれば充分納得できます。
ココに決めようとしていたら、WRCプロモーターのマークさんから連絡あり「フォードMスポーツのメディア割引なんかどう?」。話を聞いてみたら、クリオより下のR2クラスながら、50万円くらい安い。なによりWRC好きなら「Mスポーツ」という名前を聞いて断る勇気などなし!
そんなことから、WRCの若手登竜門である『JWRC』(ジュニアWRC)用のクルマ(フィエスタ R2)に乗ることとなった。
もちろん年齢的にJWRCの対象外(※参戦条件は29歳以下)ながら、ラリー映画見て出場したくなった若手にとって参考になると思う。
しかも日本で開催されるWRCに車両を持ってくることだって可能。日本までの運賃なんて往復60万円程度。出ると決まったらスポンサー募集中です。
※FIAが定めるグループRという車両規定のひとつ。R1からR5まであり、それぞれエンジン排気量、2WD/4WDの駆動方式などが異なる。R5はこのなかで最もパフォーマンスが高い規定
【国沢光宏/ベストカー 2018年7月10日号】
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ラリーの世界最高峰、WRCの2018年シーズンは、トヨタが復帰2年目のシーズンを戦っている。シリーズ全13戦のうち、WRCドイツは9戦目。
今季、トヨタはアルゼンチンとフィンランドで優勝し、ここまで2勝(ともにドライバーはオット・タナック)。ドライバーズランキングはタナックが3位、またマニュファクチャラーランキングでもヒュンダイ、Mスポーツ・フォードに次ぎ、トヨタは3位に付けている。
8月16日(木)に競技初日を迎え、19日(日)の最終日まで4日間、18ステージの総合タイムで順位が決まるWRCドイツ。国沢氏の挑戦など結果はベストカーWebでレポートする。
【編集部】
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