レッドブルのバジェットキャップ違反の原因はエイドリアン・ニューウェイ?

今回の問題はレッドブルの甘い計算による不手際であったことは間違いない

  これは規則違反であり何らかのペナルティーは致し方ない。そしてここからが最も大きな問題点だ。一体どんなペナルティーを課するのか?

 あり得ないのが罰金だ。罰金で済むなら潤沢な資金を有するトップクラスのチームは皆バジェットキャップを無視して開発を行ってしまうだろう。罰金さえ払えば良いのだから。例えばPUの使用条件と照らし合わせればわかりやすい。PUの4基目以降はグリッドペナルティーさえ払えばOKだから、事実上何基使っても良いのだ。

まさか、2021年チャンピオンシップの剥奪?
まさか、2021年チャンピオンシップの剥奪?

 では、2021年チャンピオンシップの剥奪も? マイナー違反というカテゴリーを設けている以上ここに最大級のペナルティーを科すのは難しい。もちろんレッドブルの追放はF1的にあり得ない。

 となると最終的な落とし所は、今シーズンあるいは来シーズンのバジェットキャップ上限の縮小、レッドブルのバジェットキャップの上限を下げてこれを厳しく制限すること……ぐらいだろうか?

 現在FIAがペナルティーの判断に頭を抱えているのが良くわかる。

 監査結果の発表も予定より遅れ、どういうスタイルで発表するのかに悩み、現在はその違反へのペナルティーに悩んでいる。甘くすれば収集がつかなくなり、重くし過ぎれば違反のカテゴリーを謳ったことを突かれ、あいまいに済ませればバジェットキャップの監督・監査の正確性が揺らぐ……。

 さらに今回の違反を声高に騒ぐトップチーム群も攻めすぎは危ないはずだ。

 昨年から続くFIAへの不信感、今必至にその払拭を果たそうと取り組んではいるがいよいよここがFIAの権威を守る正念場、さて、いかなる判断がくだされるか、お手並み拝見と行こう。

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津川哲夫
 1949年生まれ、東京都出身。1976年に日本初開催となった富士スピードウェイでのF1を観戦。そして、F1メカニックを志し、単身渡英。
 1978年にはサーティスのメカニックとなり、以後数々のチームを渡り歩いた。ベネトン在籍時代の1990年をもってF1メカニックを引退。日本人F1メカニックのパイオニアとして道を切り開いた。
 F1メカニック引退後は、F1ジャーナリストに転身。各種メディアを通じてF1の魅力を発信している。ブログ「哲じいの車輪くらぶ」、 YouTubeチャンネル「津川哲夫のF1グランプリボーイズ」などがある。
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