2023シーズンからGT500でトヨタへ移籍した笹原右京選手。メーカーを超える大型移籍となったが欧州育ちの笹原選手としては、そこまで特殊なものではなかったようだ。彼の今に迫ります。
文:段純恵/写真:TGR
日本では稀なメーカー間移籍はどうなされた?
■トヨタへの移籍は話題になりました
「昨年は結果が出なかったらフォーミュラをやめる覚悟で挑んでいました。それが一番の正当なものにつながると信じていたので。ある意味、その覚悟があったから今回トヨタさんにつながった部分もある。人生を賭けてやって良かったと心の底から思っています」
■日本でドライバーのメーカー移籍は稀です。
「野球やサッカーのプロ選手のチームやリーグを超えた移籍が当たり前なように、自分としてはそこに対する違和感はあまりないんです。セバスチャン・ブエミなんてWECはトヨタ、フォーミュラeは日産、F1でもレッドブルのリザーブとかテストドライバーで乗ってた時もあり、もはや何がなんだかわかんないくらい(笑)。
そんなレースごとにメーカーやチームと契約を結んで仕事をするスタンスは本当にプロのレーサーだと思います。だから僕がホンダからトヨタに移籍したこともネガティブに捉えられる必要は一切ないというか、むしろ今までなかった空気感を作り出していける手応えがあるというか。実際はいろいろ大変ですけどね(笑)」
■求めている環境、挑戦を具体的にいうと?
「やはりいまの年齢のうちに世界のいろんなレースに挑戦したい。WEC、インディ、他にも興味のあるレースはたくさんあります。もっと若い頃はフォーミュラ一筋で、いまでもF1を100%諦めたわけじゃない。今年アルファタウリに乗るニック・デフリースは一度カートで戦って以来、なぜか彼も彼の家族も僕のことを毎年気に掛けてくれてます。
その彼もカート時代は第二のハミルトンって言われてたのが、ロン・デニスがいなくなったとたん育成からはずれてすごい苦労した。その彼がワンチャンスをつかんでF1に乗ったのを見ると、彼のように視野や選択肢を拡げて乗り続ける大切さを改めて思います」
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