2023年5月27日、富士スピードウェイにて開催中の「富士24時間レース」にて、今年100周年を迎えるル・マン24時間レースに関する記者会見が開催された。「ル・マン24時間レースは、2026年から最高カテゴリー(ハイパーカークラス)に水素エンジンで参戦可能とする」と発表。おお…ル・マンは「水素」でいくのか!!
文/ベストカーWeb編集部、写真/トヨタ、ベストカー編集部
■「トップカテゴリーに水素エンジンの参戦を可能とする」
トヨタ自動車の佐藤恒治社長、マツダ毛籠勝弘(次期)社長、ル・マン24時間を運営するACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長、スーパー耐久レースの桑山晴美事務局長らが出席し、記者会見が開かれた。今年、開催100周年を迎えるル・マン24時間レースにまつわるイベント(マツダ787Bがデモ走行を披露したりい、トヨタとマツダが合同でテーマ展示「Japan Endless Discovery」を実施するなど)を紹介しつつ、将来のル・マン24時間レースのレギュレーションについて発表をした。
会見に登壇したフィヨン会長によると、「ル・マン24時間レースは、2026年に最高クラス(ハイパーカークラス)において水素を動力源とした車両(水素エンジン搭載車もしくはFCEV)の参戦を可能とする」とのこと。合わせて2030年までにトップカテゴリーのすべての参戦車を水素車両とする、という指針も発表した。
もともとル・マン24時間レースはさまざまなジャンルに前向きなカテゴリーで、だからこそ1991年にロータリーエンジンを搭載したマツダ787Bが日本メーカー初の総合優勝を飾るなどの歴史がある。そのル・マンは昨年(2022年)から100%レース用代替燃料を使用しており、すでに例年比で約65%のCO2削減に成功、カーボンニュートラルへも前向きなレースであった。
現在ル・マン24時間レースの最高峰カテゴリー「ハイパーカークラス」では、内燃機関+モーターのハイブリッドエンジンを搭載するトヨタ(TGR)の「GR010 HYBRID」が、2021年のデビュー以来WECシリーズ12戦中10勝と快進撃中。
また、トヨタは2021年に水素エンジンを搭載したカローラで富士24時間レースに参戦、以後もさまざまな場面でこの「水素エンジン搭載GRカローラ」でデモランを実施し、改良と認知度向上を続けている。
さらに上述の「ル・マン24時間レース会場での特別展示」には「モータースポーツ参戦における数々の挑戦で鍛え上げられてきた車両技術を搭載したコンセプトカーを出展する」と発表しており、これが次期ハイパーカーか…? と言われていた。ここまでの話を統合すると、「これ」ももしかすると水素エンジンを搭載…か……?
これまでモータースポーツジャンルにおける次世代技術を使ったカーボンニュートラルへの取り組みといえばBEVを使った「フォーミュラE」が有力だった。ル・マンはどうするのか? このまま代替燃料+ハイブリッドでいくのか…? といったところで、今回の発表により「水素で」という方針が明らかになったといえる(液体水素であれば充填が早いため、従来のピット作業に近い緊迫感が生まれる)。
こうなるとF1、WRCはどうするのか…? と、派生する疑問がさまざま生まれる会見であった。わくわくする仕掛けをするなあトヨタ…。
あ、ええと、もちろん富士24時間レース、いろんな意味で盛り上がっております。本日(5/27)15:00決勝スタート、明日(5/28)15:00チェッカーです。
【画像ギャラリー】会見に臨むトヨタの佐藤恒治社長と水素エンジン搭載のレース仕様GRカローラの姿(5枚)画像ギャラリー
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