100周年記念大会を迎えた2023年のル・マン24時間レース。トヨタは7号車が追突されるアクシデントでリタイアとなり、8号車に勝利が託された。フェラーリとの一騎打ちはいかに……。
文:ベストカーWeb編集部/写真:GAZOO RACING、Ferrari
■薄氷を踏む戦いが繰り広げられる
レース開始後11時間以降はフェラーリ51号車とトヨタ8号車の一騎打ちが繰り広げられた。予選のパフォーマンスに注力されていたが、ここまで耐久性が高く壊れないレース展開を繰り広げるとは予想外だった人も多いはず。
残り3時間25分。2位につけたトヨタ8号車のハートレーとフェラーリ51号車とはまさに1/1000秒の争い。セクタートップを出し合う激しいバトルが続く。ハートレーはタイヤ交換をして4スティント目に突入する激走ぶり!!
そこから自己ベストを更新してグイグイと51号車との間合いを詰める。タイムが振るわなかったセクター3でタイムを刻んだのはまさに意地だろう。
■平川亮がクラッシュも懸命に走る
残り1時間55分に51号車との間合いを10秒まで詰めたトヨタ8号車はハートレーから平川亮にドライバー交代。1周遅れて51号車がピットインするもここでの逆転はならず、16秒のギャップで平川が追撃を続ける。
残り1時間45分で平川がアルナージュでクラッシュ。リアブレーキがロックしたように見えたが、左に巻くようにスピンしフロント、リアセクションともに損傷を負ってしまう。
ピットレーン上での作業を続けすぐに復帰するも3分以上のギャップを51号車に築かれた。51号車のジョビナッツィが残り1時間7分でピットインしてドライバー交代。
残り1時間を切ったところでトヨタ8号車が燃料補給のみのピットイン。3分5秒差で追撃を開始するも、後続にはフェラーリの僚機である50号車が迫る。ラップダウンのため順位には影響しないが、抜かされてしまえば51号車を逃すために何かしらのモーションがあるかもしれない。
激走の平川は50号車を振り切り1位を走る51号車を追う。残り24分で51号車がピットイン。最後の燃料補給を実施し、再スタート寸前で電源が入らないトラブルでタイムロス。平川がぎりっぎりの走りで53秒差までギャップを詰める。
コメント
コメントの使い方トヨタが不利になるような意図的なものを感じました
「どちらが勝ってもおかいくないレースだった」から余計悔しいでしょうね。
運悪い黄旗による無駄ピット・似ているようで5割5分も差のあるBoP・クラッシュのどれか一つでも無ければ、81秒という24時間に対して1万分の一に満たない差は覆っていたかもしれない。
何よりトヨタにとってはここで勝つために8年間もルマン続けてきたようなものでしょうから、その悔しさは我々には想像を絶します。
Ferarriは全般に上手かった。全戦同じ車両で戦わなければならないトヨタと違い高速サーキット専用チューン。だからタイムで圧倒的に速いのにハンデはトヨタより13kgも少ない。
しかしそれほどの逆境すら覆してくる8号車に対して、戦略的に対応した。後半プッシュ誘い続けたからこそ全開の中でのクラッシュが起こった。それでも最後は80秒の僅差。作戦勝ちだった