■最終SSで逆転した山田選手が優勝
ラリー三河湾はヒストリッククラスも含めて90台が参戦と大盛況。アクセスの良さに加え、新城ラリーに代わる大会として注目を集めたことも人気の理由だ。モリゾウさんがテストに使うKIZUNAのグラベルに作られたSSには有料(3000円でデモランも観戦できる)にも関わらず、大勢のファンが詰めかけた。しかも子ども連れのファミリーやカップルも多く、全日本ラリーの印象を変えるに十分だった。
モリゾウチャレンジカップは“本命”と思われたフィンランド帰りの大竹直生選手が土曜日の最終SSで痛恨のコースアウトでリタイアする波乱で2人のデッドヒートとなった。ラリーチャレンジから全日本ラリーJN-3クラスを経てクラスを上げてきた貝原聖也選手と、全日本ラリーのJN2クラスで優勝経験があり、2023年はクラス3位と経験豊富な山田啓介選手の熱いバトルはハラハラドキドキもの。
結果はなんと日曜日の最終SSまで0.3秒リードしていた貝原選手を山田選手が見事逆転を果たし、記念すべきモリゾウチャレンジカップ第1戦を制した。しかも山田選手は総合でも6位、貝原選手は同じく7位と速かった!
山田選手の優勝コメントがいい。「大竹選手とは正直まだ力の差があると思いますが、WRCドライバーになる最後のチャンスと思い次戦以降頑張っていきたい」29歳という最年長ながらWRCドライバーになる夢を諦めていない山田選手の言葉に温かい拍手が送られた。
■TKモータースポーツチームを作った勝田貴元選手の想い
WRCを戦う勝田貴元選手がラリーチーム「TKモータースポーツ」を作り、監督としてモリゾウチャレンジカップに参戦している。フォーミュラドリフトジャパンの岡山大会で、あのロバンペラ選手に勝ったKANTA選手に才能を見出し、一からラリーを教える覚悟だ。
「ボクがWRCのドライバーになれたのは多くのサポートがあったからこそ。日本からWRCに挑戦できるドライバーを育てるのが恩返しでもあると思っています。若いドライバーはスポンサー集めもたいへんなので、選手の負担のない形で参戦できる環境を作ってあげたかったことがチームを作った理由です。またチームとしても、今後ラリー2車両など世界で戦えるクルマを扱うためには、もっとプロフェッショナルなラリーチームになっていく必要があると思っています」。
引退後ではなく、現役時代に若手を育てる決意をした勝田貴元選手、これまで以上に応援したくなったというファンも多いはずだ。
「勝田監督」は今回緊張するKANTA選手に「気負わず楽しんできて!」とアドバイスしていたが、一番緊張していたのは勝田監督かもしれない。そのKANTA選手は初ラリーながらモリゾウチャレンジカップ3位、総合でも24位と上々の結果だった。
次戦以降、更なる盛り上がりを見せそうなモリゾウチャレンジカップ。ベストカーでは今後も若武者たちの戦いを追い、彼らがどのように成長していくかをレポートしたい。第2戦は4月12~14日に開催される「ツール・ド・九州2024in唐津」だ。
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