立木激突からのエンジン引き取りに片道10時間! トヨタの始めたラリーの交換留学! オーストラリアで味わったケタ違いのドラマがアツい!

■このままラリーが終わってほしくない!

復活した20号車。うっぷんを晴らすかのような快心の走りで上位に食い込む
復活した20号車。うっぷんを晴らすかのような快心の走りで上位に食い込む

 その晩、チームで決起集会が行なわれたが、応援に来ていたTMCA(トヨタオーストラリア)が「我々も何かお手伝いしたい」と申し出て、手作りのカレーライスを振舞ってくれた。これは大竹選手の「お米が食べたい」と言うリクエストによるものだったが、最大の試練をクリアしたメカニックにとっても、ホッと一息つける “日本の味”だったはずだ。

 土曜日のラリー初日、「絶対に完走」を目標にスタート。序盤は様子を見ながら慎重な走りだったが、SSを走るごとにペースアップ。ただ、車内ではRallySafe(計測機器)が台座ごと外れて、竹藪選手はそれを右手で支えながら左手でペースノートを保持しながらコールすると言う状況だったそうだ。

 とはいえ、SSを重ねる毎にドライバー/コドライバーのコンビネーションは深まったようで、「とても良いペースで『ラリーが終わって欲しくない』と思えるほど、楽しく走れた(大竹選手)」、「楽しすぎて、どれだけでも走っていられる(竹藪選手)」と振り返ってくれた。

 このように初日を走り切り、総合9位/プロダクションカップ3位と予想を超えるリザルト。実は2人は速報を見れるサイトを知らず、自分達のポジションを確認できていなかったが、途中で他のドライバー/コドライバーに「君たち、凄いよ」と言われたそうだ。

 日曜日のラリー最終日、コンスタントにプロダクションカップ2位のタイムをマーク。竹藪選手は「これでもセーブして走ってもらっている」と聞き、更にビックリ。今回、いくつかのSSで走りを見たのだが、とにかく無駄な無くスムーズなのに速い!!

「SS中、竹藪さんが凄く楽しそうなのが伝わってくる(大竹選手)」、「ナオが楽しそうに運転しているのが、下を向いていてもたくさん伝わってきた(竹藪選手)」と、まさに人車一体の走りだった。 

ただ、リモートサービスの車両チェックでトランスファーのオイルクーラーにダメージがあったようで、その後はいたわりの走行を強いられたが、抑えながらもステディな走りで速さは全く変わらず。そして、最後まで確実に走り切り、総合7位、プロダクションカップ3位と、“結果”も伴った。

■この経験が今後の業務に活きる

日本とオーストラリアのチームによる記念撮影
日本とオーストラリアのチームによる記念撮影

 大竹選手は、「まずはチームの皆さん、そして協力して頂いたオーストラリアの皆さんに、心から感謝したいです。とにかく今回はタフな道だったので、クルマの事を考えて走る、クルマを守りながら走る……と言う部分ではとても勉強になりました。NBMのメンバーも“兄弟”のように接してくれました。ニール・ベイツさんが『次はRally2かな』と言ってくれたので、それを真に受け、またオーストラリアに戻って来たいです」。

 竹藪選手は「とにかくチームにクルマを直していただき、感謝しかないです。選手ができる事は“成績”でしか返せないので、3位表彰台をチームの皆さんが喜んでくれて本当に嬉しい。とにかく危なさよりも楽しさが勝ったラリーでした」と、二人ともやり切ったようだ。

今回のミッションの1つ「人を鍛える」に関してはどうだったのだろうか? 豊岡監督に聞いてみると、このよう語ってくれた。

「予期せぬ事が色々ありましたが、結果として『いい経験をさせてあげられた』と思いました。自分も久々に作業しましたが、『皆でクルマを弄る』、『同じ目的に向かってやる』はとても気持ちいいです。今回は本当にNBMのメンバーに助けられました。僕らを常に見ていて『マズイな』と思ったら手助けしてくれる……センサーが凄いなと。この経験が今後の業務に活きると信じています。本当に来てよかったと思います」と、部下の成長も感じられたようだ。

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