ベンツGLCクーペに「モノ作りの魂」を見た!!【水野和敏が斬る!】

ベンツGLCクーペに「モノ作りの魂」を見た!!【水野和敏が斬る!】

日産自動車でV35スカイライン、Z33フェアレディZ、そして何より現行型GT-Rを作り上げた水野和敏氏が、普段仕事で乗っているベンツGLCクーペ(2017年2月発売)を試乗。

その作り込みに「これぞ【人】の力」と評価しました。

記事末尾にはスペシャル動画もありますのでぜひそちらもお楽しみください。

ベストカー2017年7月10日号 写真:小宮岩男



■「SUVとは、ユーザーが決めた新しい価値観」


こんにちは水野和敏です。今回はベンツGLCクーペを軸に評価してみたいと思います。

GLCクーペ、私は仕事でも使っていますが、最初に乗った瞬間から今まで感じたことのない新しさを知りました。今までは同じプラットフォームを使ってもベースとなっているセダンやクーペに対して車高や重心高が高くなり、オフロードサイズのタイヤを装着するSUV化は、走りの質感や安定感、そして限界付近のコントロール性や音振動特性が悪化して当たり前と思っていましたが、GLCクーペはベースになっているCクラスセダンよりもむしろよくなっているところが多いのです。ちょっと他のクルマでは味わうことのできない造りのよさを感じました。今回はこのクルマを軸に、今人気の高まっているスポーツ性を高めたミドルサイズプレミアムSUVを徹底評価しましょう。

まず……最初に言いたいのは「SUVとはセダンやクーペという車型を表す言葉ではなく、過去の常識にとらわれない構成の組み合わせで、今まで自動車メーカーが作ってきた価格やクラス感のヒエラルキーを破り捨てた、ユーザーが決めた新しい価値観」の表現ということです。

従来からある4ドアサルーンや2ドアクーペには明確な社会的ヒエラルキーができていて、乗っているクルマでその人の社会的な地位や年収そして生活環境が垣間見えてしまいます。ところがいろいろな「非常識」を組み合わせるSUVにはそのヒエラルキーが存在しないし確立もしにくい。見えてくるのは社会的な地位ではなく、その人の嗜好やライフスタイル。「SUVは従来型のヒエラルキーに拒絶感を示す新たな人たちの求める新たな世界観」の総称であり、従来のような定義された車型を表す言葉ではないのです。この新たな価値観のSUVにはいろいろなモデルが出てくるでしょう。それこそイヴォークコンバーチブルのようなものもあるでしょうし、2ドアクーペのSUVもあるでしょう。従来言われているSUVという言葉の定義は違っているのです。だからSUVという範囲では販売台数は拡大しているのです。


■従来車は隙間6〜8㎜、ベンツは4㎜


前回Eクラスでもお話ししたように、このGLCクーペもドア開口部パネルの合わせ面の隙間寸法は4㎜幅で統一されています。従来からの6~8㎜の隙間で作られているアウディSQ5やレクサスRXと並べてみれば明確ですが、GLCのパーテーションは明らかに隙間が狭くピシッとしています。後部のハッチゲートまで4㎜幅でピシッと立て付けています。

特にハッチゲートの4㎜均一のパーテーション隙間はとてつもなく凄いことなのです。どういうことかというと……、ハッチゲートを開けて横に力をかけて揺すってみればわかります。ガッチリしたヒンジや車体構造物で剛性たっぷりに取り付けられているので、まったくゆがみやガタがなく、むしろボディが一緒に動いて揺すられることがわかります。

当たり前ではないかと思われる方も多いでしょう。ではアウディSQ5やレクサスRXで同じことをしてみます。両車ともにちょっと力を入れて揺するとテールゲートがグラグラとゆがんで動いてしまう。取り付けているヒンジや車体構造を見れば、ベンツのガッシリしたものとは対照的に小さなプレス鋼板製で見るからにヤワい。このゆがみやブレがあると4㎜パーティング隙間はできません。ゆがんで動いたときの余裕を持たせて8㎜幅が必要なのです。

これが技術や作りというものなのです。こうした基盤の技術がしっかりとできていて、そのうえでサスペンションだとかエンジンといった話になるわけです。ベースになる土台がきちんとできていなければ本当にいいものはできない、ということです。こうした部分は結局のところ「人」です。工作機械や図面を作るCADやコンピュータではなく、どういうものを作るのか? 開発や製造に関わる「人」の考えや技術がなければできないことです。モノ作りの魂と言い換えてもいいと思います。

【水野和敏 試乗スペシャル動画】


※本記事のさらなる詳細は、現在発売中のベストカー2017年7月10日号(6月10日発売号)にてお楽しみください

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