競合揃いの軽トールワゴンの中で、モデル末期となった今年上半期も軽自動車トップを独走。そんな絶好調なホンダN-BOXが、8月31日に2代目へとフルモデルチェンジ、9月1日に発売される。
注目の新型どんな進化を遂げているのか、発売目前に実施されたプロトタイプ試乗会でチェックしました。本企画ではそんな新型プロトタイプ(市販車とほぼ同じ)を、ジャーナリストの大音安弘氏がじっくりチャックしました!
文:大音安弘 写真:平野学
■ノーマルとカスタム、ターボとNAの組み合わせ
初代となる現行型は2011年11月に、ホンダの軽自動車Nシリーズの第一弾としてデビュー。それを皮切りにホンダの軽自動車の充実化が図られた。そんなNシリーズにとっても今回が初のフルモデルチェンジとなる。
まず新型の特徴を見ていこう。エクステリアは現行型にかなり近いイメージで、一見、現行型ベースの大幅改良モデルと思わせるが、実は、プラットフォームを含めて全体の約90%部品を刷新しているという。また徹底した軽量化を行い、現行型より約80kgも軽く仕上げている。
機能面では、更なる低床化を実現したほか、新たに助手席を前後に大きく動かせるスーパースライド機構の採用により車内の使い勝手を向上した。
パワートレインは、新開発の自然吸気エンジン仕様とターボエンジン仕様の二本立てで、トランスミッションはCVTのみ。
FFが基本だが、もちろんAWDも全グレードで選択可能だ。そして、話題の先進安全運転支援機能「Honda Sensing」の機能を追加した上で全車標準化したのも大きなトピックである。
モデルラインは現行型同様に、愛らしいスタイルの標準車と専用エアロやメッキパーツを取り入れ、クールさを与えたカスタムの2タイプを軸に構成されるが、新しいカスタムでは、見た目の違いだけでなく、各部の質感や静粛性の向上など高級感の演出にも拘ったという。
つまり単にスポーティなだけでなく、ちょっといいN-BOXという立ち位置になった。
■大ヒットした初代と違うのは、インパネ周り
今回、試乗することができたのは標準車のターボとカスタムの自然吸気エンジンの2グレードだ。エクステリアは従来型とよく似ているが、よりボクシーさが強調され、デザインもすっきりとさせたことで上質さも出てきたように感じる。
早速、運転席に収まってみると、外観上の広いガラスエリアからも分かるように、パノラマチックな広い前方視界が確保されていることを実感。
これも現行型N-BOXから受け継いだ美点のひとつ。さらに新型ではAピラーをより細くしたことで死角を減らすことに、成功している。
先代と大きく違うのはメーターパネルのデザインで、従来同様アナログ式だが横長でコンパクトなデザインとし、ダッシュボードの最上部に配置したことで、ステアリングに邪魔されることが無くなり、見やすさがアップ。
ちなみにメーター内にはタコメーターもしっかりと備わっている。ここはホンダらしいところだ。メーターレイアウトを改めたことで運転席目前に蓋付きの収納を新設。携帯電話や財布といった貴重品や小物を乗車時に目の前に収納できるので、これは重宝しそうだ。
広い視界とゆったりしたシートのおかげで運転はかなり快適。チルトステアリングとシートリフターが備わるので、誰でもベストなドライビングポジションが得られるようになっている。
シートの座り心地も良く、固さも適当。シートを含め、ドアパネルなどインテリア全体のデザインも洒落ているので、まるでリビングのような雰囲気だ。
もちろん、足もソフトなので乗り心地も良い。背高なトールワゴンのため、コーナーリング性能が気になっていたが、コーナー時のロール量も抑えられ、その動きも穏やか。
クルマの動きが分かりやすかったのは好印象だった。やはり機敏な加速を求めるなら、低観点から力強いターボが魅力的だが、軽量化の恩恵もあってか、自然吸気エンジンもレスポンスが良くため不満はなく、必要十分と思わせてくれた。
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