2017年の東京モーターショーのトヨタブースに出展され、コンセプトカーのなかでは群を抜いた注目を集めていた「Tjクルーザー」のデビューが、2020年5月になる見込みだという最新情報が舞い込んできた。
多岐にわたるディーラーに情報網を持つ遠藤徹氏が入手した、市販車に関する最新情報をベストカーWeb独占でお届けしたい。
文/遠藤徹
写真/TOYOTA
CG/ベストカー編集部
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■武骨なエクステリアデザインで他と一線を画す
トヨタは、SUVとミニバンをクロスさせた次世代遊びグルマのコンセプトを持つ、アッパーミディアムの「Tjクルーザー」を2020年5月のゴールデンウィーク明けにもデビューさせる方向でスケジュール調整をしている模様だ。
第45回東京モーターショーにプロトタイプを参考出品したが、市販モデルは基本的なエクステリアデザインなどはこれをベースに実車化するものの、中身はかなり変えている。
当然のことながら、トヨタの新しいクルマづくりの考え方を導入したプラットフォームの「TNGA」を採用。ボディシェルは四角い直線的なボックス型シェルで、プロトタイプと同様といえる。
ボディサイズは全長4300×全幅1775×全高1620mmで、ホイールベースは2750mm。両側スライドドアのミニバンレイアウトでありながら、遊びグルマとしてのSUVコンセプトも併せ持つユニークな仕立てが特徴だ。対抗モデルは、ずばり三菱自動車の「デリカD:5」だ。デリカD:5のボディサイズは全長4800×全幅1795×全高1875mm、ホイールベース2850mmであるから、Tjクルーザーよりもひと回り大きい。
エクステリアデザインもショーモデル同様だが、実車は細部がかなり異なる。フロントマスクは、バンパーまで切れ込んだ逆台形的なハニカム(六角形)グリルと、両サイドには縦型の大型メッキ板をグリルを囲むように配している。グリルは横長のメッキ板を走らせたシンプルなバージョンもあり、バリエーションによって異なるタイプも用意している。
ヘッドランプは丸型1灯式を左右に配置し、合わせて2灯式でその真下に小さな補助灯を設定。この変則4灯式はリアのコンビランプにも装備し、前後でバランスを取ったデザインで仕立てている。また両サイドドアを開閉するドアノブも丸いデザインで前後の丸ランプと統一している。
パワートレーンは1.8Lハイブリッド、2LNAガソリン、2.5Lハイブリッドの3ユニットを搭載。駆動方式はFF&4WDで、トランスミッションはCVTとの組み合わせとなる。4WDは、RAV4と同じラフロード走破性に優れたメカニズムを装備している。
■新ジャンル開拓のニューモデルは使い勝手のよさが売り
室内は、2列シート5人乗りと3列シート7人乗りを用意。コンセプトモデルは2列シート4人乗りのみだったが、実車はより幅広い実用的な仕立てとしている。最近の同クラスSUVはゴージャス&スポーティ傾向を強めているが、このTjクルーザーはバン的な道具としての使い勝手を強調したコンセプトを強調している。
助手席側は前後2列、3列目ともフルフラットになり、約3メートルの長尺物の積載ができる。床面となる背もたれやデッキボードには、フックやタイダウンベルトなどで荷物を固定するポイントを多く設け、さまざまな大きさの積載を可能にしている。
後ろのドアは両サイドともスライド開閉だから、横からの荷物の出し入れしやすく便利に使える。運転席の後ろの席は、座面を前方に立てると荷物を置けるスペースができる工夫もしている。バックドアは跳ね上げ式で、ルーフ側まで開くのでさらなる積載性の向上にも役立っている。
インテリアは水平基調のダッシュボード、楕円形のステアリング、内張やシートセンターに走らせた直線ボードはシンプルながら未来志向のデザインで仕立てられる。安心パッケージの「トヨタセーフティセンス」は最高レベルに進化させたデバイスを採用する。
ボディサイズやパワーユニットのラインアップ、全体的なつくり、仕立てからすると、トヨタ車のなかでコンセプトやクラスは、アルファードとRAV4の中間あたりに位置づけられそうだ。消費税込みの車両本体価格は、デリカD:5の250~450万円に対して、245~400万円とやや安めの設定になる見込みだ。
2020年5月は、トヨタ系列店が全国的に「トヨタモビリティ」に統合されるので、Tjクルーザーが投入新規第1弾となる。トータルのセールスパワーの強力さと新型車効果によって、滑り出しの月販規模は、5000台を突破する戦略モデルになる可能性もある。2020年新年度の4月上旬から先行予約を開始する見込みである。
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