日産マーチ一時生産中止で改良型投入への道 待望の新型どうなる?

日産マーチ一時生産中止で改良型投入への道 待望の新型どうなる?

 日産の名門コンパクトカー「マーチ」が、発売10年目で待望の改良モデルを発売へ。名門モデルの今後はどうなる?

 2010年7月に現行モデルが発売され、すでに10年目へ突入。2013年6月以来、大がかりな改良も行われず、新型の登場に関しても、現在までのところ明確な情報は伝えられていない。

 しかし、3月末時点で日産の公式HP内、マーチのページに「一部、仕様・グレード・カラーについては、生産上の都合でご用意できない場合がございます。詳しくはお近くの販売店にお問い合わせください」との文言が。

 さらに、本稿著者の取材によると、マーチは現在、一時的に生産調整が行われ、また2020年夏にも改良モデルが発売される可能性が高いことがわかった。

文:渡辺陽一郎
写真:NISSAN

【画像ギャラリー】初代から欧州の新型マイクラまで! 歴代マーチの歴史を写真で一挙振り返る!


月1万台超を売った人気車マーチの「現在」は?

左から順に初代、2代目、3代目、そして4代目(現行モデル)の歴代マーチ(海外名:マイクラ)。すでに欧州では新型マイクラへと移行している

 全長を4m前後に抑えた5ナンバーサイズのコンパクトカーは、今も昔も売れ筋のカテゴリーだ。マーチはその主力車種になる。

 初代マーチは1982年に発売され、人気を高めてコンパクトカーの分野を活性化させた。

 1992年に発売された2代目マーチは、1993年から1997年まで、月平均で1万1000台前後を登録。2019年に登録車の販売1位になったプリウスの月販平均が1万500台、2位のノートが1万台だから、当時のマーチは絶好調に売れていた。

 2002年登場の3代目マーチも好調で、2003年には月平均で1万300台を登録。この時点で背の高いコンパクトカーの2代目 日産キューブが売れ行きを伸ばし、2004年には内外装が上質な日産ティーダも発売。マーチはこれらのコンパクトカーに需要を奪われたが、月平均で2500台前後は保っていた。

 ところが2010年発売の現行型4代目マーチは、内外装の質が下がり、3気筒エンジンのノイズも耳障りだ。多くのユーザーが求める衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備も追加装着されていない。

 その結果、2018年の月販平均は1000台、2019年には800台まで下がった。16年ほどの間に、月平均で1万台以上を売った人気車が、1000台以下の不人気車に転落した。マーチの知名度は高いが、進化を怠ると売れ行きを大きく下げてしまう。

マーチは一時生産調整も廃止せず存続へ

現行型のマーチ。2013年のマイナーチェンジで日産車共通アイコンの「Vモーショングリル」を採用するなど外観も一新された

 このような事情もあり、マーチは国内仕様の生産を終えた。日産の販売店に今後の予定を尋ねると、以下のような返答だ。

「現行マーチはタイ製の輸入車だが、日本仕様の生産はすでに終わり、在庫販売になった。その在庫車も今は減り、マーチはほとんど売っていない。

 今後の予定もメーカーから聞いていない。現時点で改良やフルモデルチェンジを行う話は出ていないから、仮に実施するとしても6月以降だろう」

 とのことだ。

 日産の関係者によると「キューブは生産を終えたが、マーチはマイナーチェンジを行って今後も売り続ける。廃止はしない」という。

 先の販売店のコメントにあった通り、マーチはタイ工場で生産され、海外でも売られるからだ。国内向けのキューブと違って廃止されにくい。

 また、マーチはコンパクトカーのなかでも低価格だから、法人が社用車として使うケースも多い。法人は一度に複数の車両を入れ替えることもあるから、なるべく供給を絶やしたくない。

 仮にマーチの購入が困難になり、ノートでは予算をオーバーすると、その法人は同等の予算で買えるトヨタ パッソに乗り替えることもある。そうなるとトヨタの販売店のやり方次第では、同じ法人が使う商用バンの日産NV150ADまで、トヨタのプロボックスに切り替わるかもしれない。

 車種ラインナップに穴が空くと、そこから需要が漏れ出すわけだ。スバルが軽自動車の開発と製造を終えた今でも、ダイハツ製OEM車を売る背景には、需要を繋いでユーザー離れを防ぐ目的もある。

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