マーチ 改良モデルは8月にも登場の見通し
以上のような事情からマーチは今後マイナーチェンジを行うと思われるが、今の日産タイ工場は、新型コロナウイルス問題によって操業の中止・減産を行っている。
この影響でマーチのマイナーチェンジも先送りされる可能性が高い。それでも8月中頃までには改良を終えて、9月の中間決算フェアには間に合わせたいだろう。
マイナーチェンジの内容は、今のマーチに欠けている要素を補うことだ。
まず衝突被害軽減ブレーキを採用する。現行型では赤外線レーザーを使った簡易型も装着していないが、マイナーチェンジ後は、ルークスと同じ単眼カメラとミリ波レーダーを併用した先進的なタイプが備わる。
仮にそれが無理でも、単眼カメラを使った歩行者も検知可能な衝突被害軽減ブレーキは用意する。このほか曖昧な操舵感、粗さの感じる乗り心地なども改善される可能性がある。
価格は、安全装備を充実させても、値上げ幅を最小限度に抑える。現行マーチの発売は2010年で、その後の10年間に、ほかのコンパクトカーは走行性能、内外装の質、安全装備、燃費などを幅広く向上させた。価格も高まったが、機能の向上や装備の充実を考えると、割高にはなっていない。
これらの基本設計を刷新したライバル車にマーチがマイナーチェンジで対抗するには、衝突被害軽減ブレーキを標準装着したうえで、値上げ幅を最小限度に抑える必要がある。
基本設計が古いと改良にも限度があり、ライバル車に対する強みは価格の安さに絞られるわけだ。安全装備を充実させた上で、ノートよりも明らかに安く売れば、マーチも存在感を発揮できる。
このようにマーチは、マイナーチェンジを行うべきだが古さは隠せない。生産を終えたティーダやキューブの穴を埋める意味でも、新しいコンパクトカーが欲しい。
新型マーチはどうなる? 欧州仕様マイクラ導入の可能性
そこで注目されるのが、欧州で売られるマイクラだ。全長は3995mm、全幅は1743mm、全高は1455mmになる。全幅は1700mmを少し超えて3ナンバー車になるが、全長は4m以内に収まり、4100mmのノートと比べても短い。
マイクラのエンジンは直列3気筒1Lターボで、トランスミッションは5速マニュアルだ。そこが日本導入を困難にしているようだが、日産が国内市場を重視すれば対応も変わる。CVT(無段変速AT)や有段式ATも用意してマイクラを導入するだろう。
あるいは業務提携を結ぶルノーのトゥインゴを日産ブランドで買えるようにする手もある。ルノー ルーテシアも優れたコンパクトカーだ。ルノーの魅力は少々分かりにくいが、車両開発の考え方は、日本メーカーでいえばマツダに似ている。
例えばルノーメガーヌは、以前からドライバーが座る前席を車両の中心に近づける設計を行ってきた。運転感覚は自然な印象で車両との一体感も得やすい。一方でルノーは、カングーのような楽しいクルマも用意している。
今のメーカー別国内販売ランキング順位は、1位:トヨタ、2位:ホンダ、3位:スズキ、4位:ダイハツ、5位:日産となる。
2007年頃までの日産はトヨタに次ぐ2位だったが、次第に順位が下がり、2011年以降は新型車の発売が1~2年に1車種まで減って販売下降が一層激しくなった。
日産がこの低迷から脱するには、再び新型車の投入を増やすしかない。さまざまな販売キャンペーンでも売れ行きを伸ばせるが、あくまでも販売支援に過ぎず、新型車の発売に勝る効果は得られない。
今はクルマの価格が全般的に上昇して、軽自動車とコンパクトカーの注目度が高まった。日産は軽自動車としてデイズとルークスを用意するから、次はコンパクトカーのマーチに大幅な改良を行い、ティーダの代わりにマイクラも導入したい。
新型車には、既存のクルマの売れ行きを活性化させる効果もあるからだ。
自動車メーカーは、新型車を売らないと始まらない。ハイブリッドのe-POWERも、ノートに搭載して予想以上に注目され、売れ行きも伸びたことからセレナにも採用された。新型車が意外な効果を生み出すことは多い。
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