■SUVラインナップの強化が急務
ホンダはあくまでもフルラインナップメーカーを維持する方針。そこにブレはない。そのなかで今不足しているのがSUVラインナップだ。トヨタのライズ、ヤリスクロス、日産キックスのゾーンだ。
当然そこに投入するコンパクトSUVの開発は進んでおり、来年5月にも登場の計画だ。新開発プラットフォームをベースとし、現状国内モデルには搭載されていない直3、1Lターボエンジンが搭載されるほか、1.5Lエンジンを搭載するe:HEVもありそう。
これより前に、ワンサイズ大きいSUV、ヴェゼルのモデルチェンジが3月に予定されているため、販売台数が見込める小型SUVを一気に2モデル投入することになる。
さらにSUVではミッドサイズにCR-Vがあるが、これはトヨタではRAV4、ハリアー、マツダならCX-5、三菱アウトランダークラス。ホンダとしては世界的な動向をにらんで、スポーツ性を追求した大型SUVの必要性を痛感しているという。
特にホンダが販売上重視する米国向けにはこのゾーンが不可欠。ポルシェカイエンクーペ、ランボルギーニウルスなどがそれだ。
ホンダが企画に挙げているのがNSXをイメージしたスポーツSUVだというのだから驚き。ミドシップハイブリッドのNSXをそのままSUVにはできないので、パワーユニットはフロントエンジン、後輪モーター駆動となって、パッケージ的には「レジェンドSUV」とも言えるが、あくまでも内外装のイメージはNSXのスポーツ性をアピールするものになるという。
まだ構想段階の企画ということで、企画がスタートしても、実車のデビューは早くとも2025年となるだろう。
■電動化への急速な動き
ホンダの電動化への動きは、まずはモーター駆動を主体としたハイブリッド、e:HEVの拡大だ。いまさら説明は不要だろうが、e:HEVは搭載するエンジンは主に発電用で、実際の駆動力はモーターが主。
低負荷の高速走行時にエンジン駆動力が電磁クラッチで接続されるが、一般道での走行はほぼモーター。フィット、インサイト、アコード、ステップワゴン、オデッセイ、CR-Vのハイブリッドがこのシステムを採用する。
このシステムは、バッテリーを大容量化することでPHEV化が容易で、クラリティPHEVがそれに当たる。さらに大容量バッテリーを搭載することでピュアEVへの発展性もある。
ホンダは軽自動車を除く今後のニューモデルでは、基本的にこのe:HEV方式のハイブリッドを主軸とし、ニーズや世の中の情勢をにらみつつEV化を進めていくことになる。
一方軽自動車ではホンダeで提案した小容量バッテリーによる短距離航続がユーザーの理解を得られれば、一気にEV化を視野に入れた戦略に打って出る。
軽自動車ユーザーの多くが1日当たりの走行距離は数十キロで、航続距離は問題にはならないが、現状では充電設備の充実や、ユーザーのEVに対する意識、認識がネックとなっている。小型バッテリーは「e」で開発されたパナソニック製が有力だ。
しかし、欧米での燃費規制の強化を視野に入れれば海外向けモデルの電動化は急務だ。
GMとの共同開発でEVプラットフォーム、バッテリー開発が進んでおり、2024年にニューモデルが登場するが、これが日本向けに投入される可能性も大きい。
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