え!? これスズキなの? トヨタ新型アーバンクルーザー発表

 インドでトヨタが新型コンパクトSUVを発表! 気になるその正体とは?

 7月にRAV4 PHVのOEMとなるスズキ アクロスが登場して以来、2016年10月に発表されたトヨタとスズキの業務提携の具体的な動きが活発化。

 そうしたなかでトヨタは、9月23日にインドにて販売されるコンパクトSUVの「アーバンクルーザー」を発表。なんとこちら、今度は逆にスズキからトヨタへのOEM供給という形で実現したモデルなのだ。

 本稿では、このアーバンクルーザーを紹介するとともに、トヨタとスズキの協業に関する最新事情も解説したい。

文:永田恵一、写真:スズキ、トヨタ

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アーバンクルーザーはスズキのOEM

トヨタは、9月23日にインドにて販売されるコンパクトSUV「アーバンクルーザー」を発表。スズキ ビターラブレッツァのOEM車である

 アーバンクルーザーは、スズキがインド向けに開発し、2016年の登場以来大人気となっているコンパクトSUVであるビターラブレッツァのトヨタ版だ。

 ベースとなるビターラブレッツァは、全長3995mm×全幅1790mm×全高1640mmという、日本で大人気のトヨタ ライズ/ダイハツ ロッキーの全幅を100mm拡大したボディサイズを持つ。

 ビターラブレッツァは原色系のボディカラーが似合う明るい雰囲気のエクステリア、インテリアではセンターに付くモニターが大きな特徴だ。パワートレーンは1.5LガソリンNA(最高出力105馬力&最大トルク14.1kgm)エンジンに5速MTと4速ATが組み合わされる。

 4速ATは、日本で販売されるスズキ車で普及している超小型モーターを使い、加速時のアシストや減速時のエネルギー回生、静かでスムースなアイドリングストップも行うマイルドハイブリッドとなる。

 そのためインドで公表される燃費は5速MTの17.03km/Lに対し、4速ATは18.76km/Lと、4速ATが勝る。

ベースとなるスズキビターラブレッツァは、全長3995mm×全幅1790mm×全高1640mm。リーズナブルな価格であることもあり、人気車である

 ビターラブレッツァは全体的にオーソドックスだが、明るい雰囲気と低燃費に加え、価格が74万3000ルピー(日本円で約105万2000円)とリーズナブルなこともあり、人気車となっているようだ。

ビターラブレッツァとアーバンクルーザーの違いは?

OEM車だけに機能面はビターラブレッツァと共通。グレード面では異なり、アーバンクルーザーは3つ。アーバンクルーザーは84万ルピー≒120万円から販売される

 本題となるアーバンクルーザーもOEMだけに、機能面はビターラブレッツァと共通。

 大きな違いは、シートカラーがブラックとなるビターラブレッツァに対し、アーバンクルーザーはブラウンとなる点、フロントマスクを中心としたエクステリア、グレード構成の3つだ。

 エクステリアは、グリル、フォグランプが入る位置、バンパー開口部が上下に大きいビターラブレッツァに対して横方向に大きいアーバンクルーザーという印象で、フロントマスクはアクロスとRAV4 PHVくらい違う。

 リアビューの違いは、バンパー下部にあるシルバーのプロテクターくらいと、フロントマスクに比べれば小さい。

エクステリア、グリル、フォグランプが入る位置、バンパー開口部ではビターラブレッツァに比べ、横方向に広めに設計されている

 また、ボディカラーはともに9色だが、原色系が多いビターラブレッツァに対し、アーバンクルーザーはレッドがない代わりにブラウンがあるなど、落ち着いた印象だ。

 グレード体系は、廉価版があるビターラブレッツァが4つなのに対し、アーバンクルーザーは3つとなり、価格も装備内容が近いグレードであれば同等だ(アーバンクルーザーは84万ルピー≒120万円から)。

 なお、車名の書体と車名がランドクルーザーに似ているアーバンクルーザーだが、アーバンクルーザーという車名は、かつてトヨタにあったSUV的な要素もほのかにあったコンパクトカーであるイストの2代目モデルの欧州仕様に使われたもので、クルマのコンセプトになかなか似合っている。

欧州ではトヨタが、インド/アフリカではスズキがOEM供給

 ここにきてアーバンクルーザーのOEM供給をはじめとしたトヨタとスズキの協業は活発になっており、発表されているものとすでに実行されているものは以下のとおり。

■トヨタ主導のもの

●2017年11月17日発表/インド向けEVの投入

 2020年頃にスズキがインド向けに生産するEVにおけるトヨタの技術的支援、トヨタへの供給、充電施設や使用済バッテリーの適切な処理体制といった周辺環境の整備。

●2019年3月20日発表/トヨタの強みである電動化技術、電動車の供給

【1】グローバルでのスズキへのトヨタの2モーターハイブリッドの供給

 これはマツダのアクセラハイブリッドや米国仕様のスバル クロストレック(日本名:XV)PHEVと同様だろう。その際には燃費向上のためハイブリッド用の熱効率の高いエンジンも欲しいところだ。

【2】インドでのハイブリッドシステム、エンジンおよびバッテリーの現地調達化によるハイブリッド技術の普及

【3】欧州でのスズキへの電動車のOEM供給

 これはすでに発表されているRAV4 PHVベースのアクロスと、欧州向けのカローラツーリングスポーツベースのスウェイスだ

2020年7月にRAV4 PHVのスズキ向けOEM車 アクロスが発表された

■スズキ主導のもの

【1】インドにおけるバレーノ(日本では販売終了、トヨタ名:グランツァ)、ビターラブレッツァ(インド名アーバンクルーザー)のOEM供給

インドにおけるスズキ バレーノ(トヨタ名:グランツァ)のOEM供給

【2】インドにおけるミドル4ドアセダン「シアズ」、ヒンジドアのコンパクトミニバンとなる「エルティガ」のトヨタへのOEM供給

4ドアセダン スズキシアズ

【3】欧州でデンソーとトヨタが支援するスズキの新開発エンジンをトヨタのポーランドの拠点で生産し、トヨタの小型車に搭載

 これは筆者の想像だが、欧州向けのトヨタ車には「アイゴ」というシトロエンとプジョーでもC1と108として販売される、トヨタ主導で開発されたコンパクトカーがあり(VW UP!などがライバル)、スズキの新開発エンジンはそのあたりのモデルにも搭載されるのかもしれない。

【4】アフリカでのインド製となるバレーノ(車名はスターレット)、シアズ、エルティガ、コンパクトSUVのビターラブレッツァのOEM供給

両社の強みを生きかした今後の展開

●2019年3月20日発表 両社の強みを生かした開発、生産領域での協業

【1】スズキのインドにおける車両開発の知見も活用した、トヨタのCセグメントMPVの共同開発およびスズキのOEM供給

【2】トヨタのインド工場での2022年からビターラブレッツァを生産

このように幅広く、今後両社の強みを生かしたクルマや結果が現れるのが楽しみだ。

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