トヨタのミドルサイズミニバン「ノア」、「ヴォクシー」の上級版として登場したエスクァイアが、2021年12月をもって生産終了することが発表された。新車のオーダーはすでに9月23日をもって終了しており、注文残の生産・納車を残すのみだ。
そこで気になるのが、2022年1月にフルモデルチェンジを迎える新型ノア/ヴォクシーの行方だ。兄弟車のまま残るのか、それともどちらか一つに絞られるのだろうか。販売店への取材で分かった最新情報をお伝えする。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA
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■ノア/ヴォクシーも現行型はオーダー終了! 注目の新型は?
エスクァイアのオーダー終了と同日、現行型のノア・ヴォクシーの注文も締め切られた。フルモデルチェンジ予定の2か月以上前に、オーダーストップをかけるのは異例の対応だ。ここには9月・10月の、トヨタ工場稼働停止が大きく影響している。
モデルチェンジまでに現行型の生産をすべて終え、新型の生産体制を整えなければ、新型車の発表はできない。現行型の生産が終わらなかった場合には、新型の発表を数週間遅らせる可能性もあるだろう。販売店では、突如通達されたオーダーストップに今後の不安を感じていた。
さて、昨年からスタートしたトヨタ全チャネル車種併売化以降、兄弟車と言われるクルマは軒並み片方が姿を消してきた。残るはアルファード・ヴェルファイアとノア・ヴォクシーだ。
ただ、アルファード・ヴェルファイアに関しては、実質的にアルファードがヴェルファイアを吸収する形で決着した。
では、最後の兄弟車となるノア・ヴォクシーの行方はどうなるのか。前例からするとノアがヴォクシーを吸収する形が自然だが、統合に関しては様々な葛藤が見え隠れする。
■ヴォクシーが存続する公算は高い
筆者はヴォクシーの存在は残り続けると考えている。そのひとつの理由が、販売台数の差だ。
2021年7月の新車販売台数は、ノアが1971台(前年同月比48.5%)に対し、ヴォクシーは6371台(前年同月比119.8%)である。2021年累計販売台数では、ノアが2万3596台でヴォクシーは4万7462台と、ダブルスコア状態だ。
アルファード・ヴェルファイアの例でいくと、人気のなくなったヴェルファイアがアルファードに吸収されている。もともとアルファードのほうがクルマとしての歴史も古く、メーカーとしても残したいクルマだった。競争にも勝ち、順当に整理がついた結果だろう。
ヴォクシーの人気が圧倒的な状況では、ノアがヴォクシーに吸収される格好となるのが自然だ。しかし、クルマの歴史はノアのほうが長く、派生車として生まれたヴォクシーを残すという選択は、メーカーとしても避けたいのが本音だと思う。
多くの販売店で、ノア・ヴォクシーのフルモデルチェンジに対する聞き取りをおこなったが、ヴォクシーがなくなるという話は出てこなかった。全ての販売店で、「ノア・ヴォクシーに関しては、来年の1月にモデルチェンジをおこなう」というのが回答だ。
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