■トヨタ&レクサスはターボHVを新開発 着々と進化している日本のHV
スポーツHVの新たな展開でいえば、トヨタの動きは大いに注目すべきポイントとなる。新型クラウンに直4、2.4Lターボエンジンをベースにした新しいHVシステムを搭載。
前輪をエンジンとモーター、後輪をモーター、インバーター、トランスアクスルを一体化したeアクスルで駆動する4WDで、トヨタではこれを「デュアルブーストハイブリッドシステム(DBHS)」と呼んでいる。
2.4Lツインスクロールターボエンジンは272ps/46.9kgmを発生し、前後モーターを組み合わせたシステム出力は350ps/56.0kgmと強力。
初代プリウス以来、進化を続けてきたトヨタハイブリッドシステム(THS)を持ちながら、あえて新たなシステムを開発、投入したのはパワフルでダイレクトな乗り味を追求するためで、トヨタは燃費系(THS)とパワー系(DBHS)の「二本立てのHV戦略」を始めたということなのだ。
DBHSはエンジンが主体でモーターが補助するパラレル式で、複雑なシリーズパラレル式のTHSより簡易的なHSシステム。燃費性能では劣るものの、パワーを追求するスポーツモデルにふさわしく、長年続いてきた「HVは走りがつまらない」という声へのトヨタの回答とも言えるものなのだ。
トヨタ以外のメーカーもこのところHVは大きく進化している。
「どこのメーカーも燃費ではTHSに勝てないとわかっていました。だからほかの方法でチャレンジしてきて、その成果が出始めているということではないでしょうか」(鈴木直也氏。以下コメントはすべて同じ)
日産はe-POWER、ホンダはe:HEV、三菱はBEVベースのPHEVなど特色を生かした独自のシステムを導入し、それぞれが急速に進化してきている。
特によくなっているのは日産のe-POWERだと鈴木直也氏は言う。
「新型エクストレイルは素晴らしい出来。VC(可変圧縮比)ターボとの相性が抜群で、滑らかなのにパワーもあります。また、従来の1.2Lエンジンベースも急激に進化しています」
また、新型シビックHVに搭載されたe:HEVもエンジンを新開発したことでダイレクト感のある乗り味が好評だし、三菱も来年登場予定のアウトランダーPHEVラリーアートで新境地を見せてくれそうだ。
「伝統のラリーアートを名乗るのだから、エアロや足回りだけでなくパワーアップも必要。おそらくモーターの出力を引き上げてくると思う。パフォーマンスは相当アップするんじゃないかな」
トヨタだけでなく、HVを主力としているメーカーは、どこも着実にシステムを進化させ、走りの質を上げてきている。
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