■450psクラスの4輪独立制御4WD
さて、BEV専用車になる次期スカイラインだが、どのような内容になるのか。2025年という登場時期を考えると、スペックは日産の最新BEVであるアリアのハイパワーバージョン「B9」が参考になりそうだ。
アリアB9は容量91kWhのリチウムイオン電池を搭載し、218ps/30.6kgmのモーターを前後に2つ搭載する4WD。
4WDシステムは前後のモーターとブレーキ制御で4輪を独立制御する「e-4ORCE」で、次期スカイラインもスペック的にはこのあたりになりそうだ。つまり、450psクラスのパワーを持つ4WDということだ。
ただし、アリアのBEV専用プラットフォームはCセグメントクラスで前輪駆動用。スカイラインは車格が上で後輪駆動がベースとなり、単にアリアのシステムを使うということでもなさそうだ。
ここでポイントとなるのが新しい電動パワートレーン、いわゆるeアクスルで、日産はジヤトコと共同で3in1と呼ばれるモーター、インバーター、減速機をモジュール化したユニットを開発中。
レアアースの使用率を低減し、サイズダウン、高剛性、そして、2019年比で30%の製造コスト削減も実現するというものだ。
さらにジヤトコでは変速機付きのeアクスルも開発中で、まずはピックアップトラック用としているが、もしも高効率で運転の楽しさにも繋がるのであれば、乗用車への採用も視野に入ってくるはず。
これらの新開発ユニットが次期スカイラインで使われる可能性も大いにあるというわけだ。
次世代BEVといえば、日産が約1000億円を出資するルノーの新会社「アンペア」が本格始動した。
BEVとSDV(ソフトウェア ディファインド ビークル)事業に専念するためにルノーから分社化した組織で、日産のBEV技術への期待も大きい。
アンペアで日産がどんな役割を果たすのかは、2023年度内の発表を予定している日産の中期経営計画で明らかになるはずだが、今のところアンペアでは小型BEVの開発をメインとしながら、製造コストを4割抑える目標を掲げており、エンジン車と同等の販売価格を実現するとしている。
それは当然、日産の次世代BEVの車両価格を抑えることにも繋がるはずで、次期スカイラインも「意外と安い価格設定」が期待できるかもしれない。
■日産の進化の象徴となるクルマ
クロスオーバーはどうだろう。QXe(クロスオーバー)のデザインは、Qe(ファストバック)ほど明らかにはされておらず、公開しているのはシルエット程度だが、それを詳細に分析して作ったのが上のCGだ。
おそらくクーペSUVのようなスタイルになると思われる。
スカイラインクロスオーバーは2016年の販売終了以来ということになるが、BEV専用で新しく生まれ変わるということで、過去のことはあまり考えなくてもいいだろう。
今の時代、パワーユニットの種類に関係なく、C/Dセグメント以上ならSUVの設定は不可欠で、スカイラインにクロスオーバーが復活するのは当然の流れ。
逆に飽和状態に近くなっているこのカテゴリーで、いかに商品力をアピールできるかが重要だ。
2025年に登場するクルマであれば、SDVへの進化は不可欠で、OTA(オーバー ジ エア)も注目ポイント。
ビジョンQe&QXeではそのあたりの具体的な説明はされていないが、エンタメ系アプリの取り込みや更新はもちろん、車両の機能も常に最新のシステムを採り入れることができる仕組みを用意するはず。
その点でも、スカイラインは日産車の進化の象徴と言えるクルマになりそうだ。
ビジョンQe&QXeは米国での生産が予定されているが、スカイラインの生産工場はどこになるのか。そこも気になるところだ。
●次期スカイラインクロスオーバー予想スペック
・全長:4900mm
・全幅:1900mm
・全高:1650mm
・ホイールベース:2900mm
・車両重量:2000kg
・パワーユニット:前後2モーター
・最高出力:450ps
・最大トルク:60.0kgm
・予想登場時期:2025年秋
・予想価格:700万〜800万円
コメント
コメントの使い方V36スカイラインクロスオーバーは良い車だと思ってました。同時期のクーペやその後継であるQX60のデザインも素晴らしい。
なのでクーペ風4ドアとクロスオーバー(ハッチバック)の二本立ては納得。求められる外観が作りやすい。
そして現行の各クラウンが、界隈で散々否定されてたにも関わらず実際は売上げ大きく伸ばしてるのも計画に影響大だったはず