ワイ・エンジニアリング(神奈川県横浜市)が輸入販売するメルセデス・ベンツの大型特装トラック「エコニック」に試乗した。
欧米で普及している一方、日本ではほとんど見かけることがない大型ローエントリーキャブ車の草分け的存在である同車両は、バスのような低くて前のめりな運転席や、独自の4WS機構などが特徴。日本でも東京や京都で消防車のとして活躍しており、これからますます注目されそうだ。
今回は未登録のキャブ付シャシーに工場構内で試乗。そのインプレッションをお届けする!!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2022年9月12日発売「フルロード」第46号より
エコニックはこんなクルマ
大型トラックのキャブを低床化する「ローエントリーキャブ車」は、日本でほとんど見かけることはないが、欧州では特に目新しいものではなく、以前からメルセデス・ベンツはもちろん、それ以外のトラックメーカーからも商品化されてきた。
エコニックは、初代が1998年デビューという比較的歴史が浅いモデルだが、それまでニッチだった大型ローエントリーキャブ車を大メーカーが供給したことで、このジャンルの裾野を広げる大きなきっかけに。いまではその定番として確固たる地位を築いている。
現行型は2013年に発表され、2014年に発売された第二世代モデル。日本ではワイ・エンジニアリングが総輸入代理店として取り扱っており、2020年3月に東京消防庁に「先端屈折車いす対応型30m級消防はしご車」のベース車両に採用され、2021年12月には東京消防庁の水槽車、2022年1月には京都市消防局の消防はしご車にも採用されている。
いまのところ国内では消防車としてのみ使われているエコニックだが、欧米では消防車はもちろん、塵芥車としても多数が普及しており、街中でもその姿がよく見られる。また、都市内配送用バン型車や脱着ボディ車、航空機地上支援車両の1つであるハイリフトトラックなどでも用いられている。
いずれも頻繁な乗降を伴う用途やキャブ全高を抑えたい用途といった「限られているが明確なニーズがあるもの」で、そこに真正面から応えたトラックがエコニックなのである。