タイヤサイズとチェーンの備え
次にタイヤサイズの話。積雪量が多い日は外径が大きく、車高が高いクルマのほうが安全です。具体的にいうなら11R以上のタイヤサイズが安心です。そして、標準的な3軸の車両なら後輪のデフは2つ必要です。
駆動しないタイヤは深い雪が絡むと抵抗にしかなりません。むしろ、昔よく見かけた11Rタイヤを履いた2軸のトラックのほうが深雪には強いですよ。最近流行りの小径タイヤで低床のトラックは、本当に嫌になるほど深雪には弱いです。
現在、私は4軸低床のクレーン付き車両に乗務していますが、配達先がオフロードの工事現場専門なので、まだ雪の無い現在でも既にデフロックを3回使っています。雪が積もれば現場内は常にデフロックの状態で、なおかつチェーンは常に装着することになります。
北海道の厳冬期を安全に乗り切るポイントは3つ。①毎年新品のスタッドレスタイヤを履く。②11R以上の外径サイズのタイヤで、3軸車はツーデフが常識。③スタッドレスタイヤにも同サイズのチェーンを常備する……といったところでしょうか。
チェーンに関しては、ある程度の高速走行が可能な細くて軽い亀甲型の特殊鋼チェーンがお勧めです。何故なら、埋まってしまってからチェーンをかけることが多く、その際重いチェーンだと装着が極端に大変になることと、動き出したら止められない状況があるからです。
何日も降雪が続くと、ある程度勢いをつけて走り続けないと、例えチェーンを巻いていても埋まるほどの積雪量になります。そしてチェーンを購入する際は、スタッドレスタイヤ用のサイズがあることをお忘れなく。
さて、北海道の雪を知らない方を驚かせてしまうようなことを書きましたが、決して大袈裟な表現をしたわけではありません。私たちのような工事現場回りのトラックドライバーには常識的なことです。
しかし、大手の倉庫や、いくつものゼネコンがジョイントベンチャーしているような大きな現場であれば、完璧な除雪と導線が確保されていますので、それほど心配はいりません。数字の小さな国道は24時間体制で除排雪されていますし、大手の会社は大型の除雪車で24時間敷地内を除雪しています。
それに大抵は主要幹線道路沿いにありますから、タイヤの小さな4t車や低床車でもスタッドレスタイヤさえ履いていれば問題なく辿り着けるでしょう。さらに細かいことをいうとしたら、日常点検の項目になりますが、バッテリー液の量、オルタネータの充電量の点検。
氷点下30℃まで凍らないウォッシャー液を満タンにする。冬用のワイパーに交換する。3日分の食料と飲料水、携帯トイレ、氷点下対応のシュラフを用意しておく、といったところでしょうか。
北海道は都市部を離れるとコンビニもトイレも暫く現れません。万が一郊外で道路外に落ちてしまった場合、冬季は救助が来るまでかなりの時間がかかります。
暖房の無い氷点下では車内でも30分以上の時間は耐えられないと思ってください。以上、北海道に必要な冬の装備について語らせて頂きました。安全対策を怠らなければ、冬の北海道でしか見られない素晴らしい雪景色を堪能できますよ。では、素敵なドライブを!
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