ドイツのMANは物流を支えるトラックドライバーへの感謝を表した特別仕様車「MAN TGX トラッカーズエディション 18.560」を公開した。燃費効率に優れたD30型ディーゼルエンジンを搭載し、最大5%の燃費向上を実現する。
装備やデザインを決定するため職業ドライバーに参加を呼びかけ、350名のドライバーが応じた。トラッカーズエディションは欧州限定で市販されるそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus
ドライバーによる、ドライバーのための特別仕様車
ドイツの商用車メーカーでフォルクスワーゲンの大型車部門・トレイトングループに属するMANトラック&バスは2026年7月10日、ニュルブルクリンクで開催されたトラックグランプリで「MAN TGX トラッカーズエディション」を公開した。
同車はTGX 18.560の4×2トラクタをベースとする特別仕様車で、ドライバーの要望に合わせて調整した。とりわけ中小規模の運送会社に焦点を当てており、購入後に高額な改造やカスタマイズを行なうことなく、最初から高品質な環境を実現したいと考えている企業に最適なモデルだという。
快適性や安全性、デザインなど、ドライバーが求める多くの要素を工場出荷時から備えていることを目指し、欧州全土のドライバーが参加するワークショップから開発を始めた。MANが運営するドライバー・コミュニティの「トラッカーズ・ワールド」の呼びかけに応じたドライバーは350名に上り、共同で職業ドライバーにとって理想的な長距離トラックを定義した。
重視したのは豪華なオプションや改造ではなく、コストと効率のバランスが取れた実用性だ。その結果、GXキャブ、560hpエンジン、フルエアサスのTGXがベースになった。
最新の運転支援機能は高い安全性を実現しながらコスト効率にも優れ、ドライバーが燃料を節約するのにも役立つ。
駆動系の中心にあるのは直列6気筒のD30型ディーゼルエンジンで、560hpと2800Nmを発揮する。トレイトングループとして共同開発する排気量13L級エンジンがベースで、日本でも展開が始まったスカニアの「スーパー」シリーズの兄弟機となる。
同機の熱効率は50%を超えるそうで、内燃機関の限界に近い超高効率エンジンとなっている。その能力を最大限に引き出すためトランスミッションも新開発された。D30型エンジンと14段AMTのMANティップマチック14型を組み合わせた「MANパワーライオン」ドライブトレーンは、D26型エンジンによる従来モデルに対して(空力改善もあわせて)燃料消費を約5%削減する。
ドライバーズエディションでは仕様の中心にドライバーのニーズを据えた。温度コントロールを備える快適なシート、電子制御ステアリング、電動パーキングクーラー、豊富なストレージなどは標準装備だ。24インチのテレビと、キャブ後部の衣装棚、特別開発されたリクライニングチェアは長距離ドライブの快適性を向上する。
第五輪のカップリング検知機能、電子式燃料盗難防止システム、デジタルミラー(ミラーに代わるカメラ&モニター)の「MANオプティビュー」など実用的な装備も、日常業務をサポートし仕事をしやすくするためのものだ。
いっぽう、外観についてもドライバーの好みが反映されている。特徴的なのはフロントセクションがキャブカラーで塗装されていること、あえてクロームメッキ部品を徹底的に排除したこと、ブラックのエレメントを多用したことだ。
ホイールリム、サンバイザー、LEDライトバーを備えるルーフバー、独特のサウンドのエアホーンなどもブラックで、実用性を重視し、あまりギラついた印象を与えないデザインが欧州ドライバーの好みとなるようだ。
当初は「モハーヴェ・ベージュ・メタリック」ペイントで発売されるが、ボディカラーは多数用意する。もちろん、顧客は自社のブランドイメージに合わせてカスタマイズすることも可能だ。
車両は欧州市場限定で市販され、専用パッケージとしてハンズフリー無線機、高品質フロアマット、ベッド用シーツ、ウィンドデフレクタなどが付属し、ドライバーへのパーソナルギフトとして特別にデザインされたレザージャケットも付く。
MANはトラックドライバーのための特別仕様車を開発することで、毎日運転席に座り物流を支える人々に対する感謝の気持ちを示したという。

