太陽光パネルと並んで、再生エネルギーの本命とされる風力発電は、今や世界中で設置が進んでいます。
ただ、近年では大型化が進み、設置に際して分割できない羽根をどう運ぶかが大きな課題。その課題に挑むノーテブームの伸縮型のスーパーウイングキャリアを、建機専用ミニカーショップ、ケンクラフト店主のケンさんがご紹介します。
文/高石賢一(ケンさん) 写真/岡村智明・播州商運倉庫
風力発電の羽根を運ぶノーテブームの伸縮型トレーラ
風力発電の羽根を運搬する、スーパーウイングキャリアを紹介しよう。
実車はこのページでもおなじみのオランダNOOTEBOOM(ノーテブーム)社。ミニチュアは昨年10月にミュンヘンで開催された建設機械の展示会「バウマ2022」で初登場、販売された。
風力発電機の高さは年々高くなる傾向で、以前は70mだったものが、120mや130mも当たり前になってきている。羽根は分割できないので「どうやって運搬するのか?」が世界でも頭の痛い問題となっている。
もちろん、いままでも長いトレーラはあったが、全長57mもある羽根を安全に、壊れないようにとなると、さらに全長の長いトレーラが必要。そこでノーテブームお得意の伸縮型トレーラの出番となる。
今回のモデルはいままでで一番長く、57mの羽根を載せられ、4段フレームを最大に伸ばすと全長は約63m。アンテナのように伸びる同社のテレスコピック型フレームは細いのに充分な強度がある。
前に会社を取材した折にもそこをアピールしていて、他社に対するアドバンテージとなっているようだ。リアタイヤは3軸で重量物は想定していないが、大きな角度が切れるステアリング機構が付き、高さも変えられる。
グースネック部分は昇降ストローク820mm、リアサスペンションのストロークはノーマルの高さから上方向に460mm、下方向に140mmでトータル600mmも変えられ、ガードレールを跨いで曲がっていくことができる。
「長いものをいかに運ぶか」という答えを、形と機能で示した。スーパーという名前も納得がいく。
こんな長いトレーラは国内にはないだろうと思いきや、すでに1号機が兵庫県の播州商運倉庫に導入されている。