ニュースでもよく取り上げられ、一般にも認識され始めた「物流の2024年問題」ですが、肝心のトラックドライバーの声がなおざりにされされているように感じます。
中でも日本の運送事業者の大半を占める中小零細の会社で働くドライバーは、2024年問題に一番影響を受けるはず。
ちょっと変わったハンドルネームを持つ中堅ドライバーの鰻さんにその辺のところを聞いてみました。
文/中堅ドライバー・鰻さん、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
*2023年3月発行「フルロード」第48号より (掲載している写真は全てイメージです)
下請け・孫請けの中小零細にとっての「2024年問題」
「2024年問題」ですが、僕が思うに、大手にとっては影響は少ないかもしれませんが、中小零細の運送会社は現状より悪くなる未来しか見えません。
今の運送業界は、コンプライアンス重視の大手企業はホワイトな仕事しかできず、大手のできない仕事が中小零細の企業に流れています。ブラックな仕事を、なんとかグレーにして回しているのが中小零細の運送会社だという気がします。
2024年問題・働き方改革で、それがより顕著になると思います。
その昔、トラックドライバーといえば「労働時間は気にしない」「やればやっただけ稼げる」「荷物は積めるだけ積む」、「過積載など当たり前」という、法令遵守とはほど遠い時代がありました。
その後、法令遵守が求められる時代になり、今は運送会社に入社した際は、ドライバーの適性検査をしたり、会社で法令に関する教育をするようになりました。また、デジタコ(デジタルタコグラフ=デジタル式の運行記録計)などを利用し、運行管理・労務管理も行なわれるようになっています。
そのお陰で、過酷な労働ができなくなりました。それで前と同じ給料なら良いのですが、労働時間が減った分、給料も減ってしまいました。
そうなると、困るのは稼ぎたいドライバーです。会社側としても仕事をしてもらわないと利益が出ないので、表面上はブラックにならないようにし、労働基準法にもひっかからないような「見せ方」をしていたと思います。
逆にいえば、そうしないと利益が出ないし、ドライバーに充分な給料が出せない。そうしないと回らない仕事があり、そうしないと仕事がなくなる会社がある。そんな運送会社も少なくないと思います。