2024年1月12日、東京オートサロン2024(幕張メッセ)のマツダブースで開催された記者発表会にて、マツダの毛籠勝弘代表取締役社長は「今年2月1日より、ロータリーエンジンの開発グループを立ち上げます」と発言。あまりの発言に信じられず近くの広報部員に確認したところ、「確かに言いましたね」とのこと。マジか。マジでした。以下速報でお伝えします。
文、写真/ベストカーWeb編集部
■キッカケはイベントとモビリティショーの「アイコニックSP」
記者席に動揺が走り、「本当…なのか??」という発言が漏れた。前述のとおり、マツダ毛籠社長が(この21世紀も1/4を経過しようという時期に)新規でエンジンの開発チームを立ち上げる、と発言したのだ。それもロータリーエンジンの。いや、ロータリーエンジンだからこそ、か。
毛籠社長によれば、昨年(2023年)、富士スピードウェイと岡山国際サーキットで開催された「マツダファンフェスタ」に参加した際、多くのマツダファンと生身の交流を通して「(マツダを)もっとクルマを楽しみたい人のためのブランドへ成長していきたい」と決意を新たにしたという。
そのうえで、昨年10月にはジャパンモビリティショーに「アイコニックSP」を出展。この2ローターRotary-EVシステムを搭載するコンパクトなスポーツカーの反響がすさまじく、社内に「ブランド体験推進本部」を立ち上げ、「皆さまに背中を押されまして、この夢に近づくべく、今年2月1日、ロータリーエンジンの開発グループを立ち上げます」と発表した。
新規開発チームは、カーボンニュートラル時代に向けた課題をブレークスルーする役割を担うという。
実は2018年にも一度結成されたそうで、今回は「再結成」とのこと。SKYACTIV-Xの開発を通して培った燃焼技術などを投入し、ロータリーエンジンの可能性を追求していく。まだ辞令は出ていないが、30人程度のグループとなるそう。ロータリーエンジンは電動化と組み合わせると相性がよく、また水素ロータリーエンジンなど、環境対応への可能性を感じさせている、とのことだった。
マツダはロータリーエンジン搭載車を、いったん2012年にすべて生産終了。それから11年が経過した2023年、「R-EV」というかたち、いわゆる「EV走行のための発電用エンジン」としてMX-30に搭載させて復活、市販した。
この仕組みをさらに発展させ、2ローターで搭載するのが前述のコンセプトカー「アイコニックSP」だ。
「なんだ…発電用か…」と思うなかれ。もちろん発電用途(分類でいうと「シリーズ型のプラグインハイブリッド車」ということになる)でも多くの可能性を秘めているが(軽量小型のロータリーエンジンはPHEVの発電ユニットとして大変相性がよい)、上述の毛籠社長のコメントにある「水素ロータリー」の可能性も充分に感じられるし、そのうえで近年欧州や南米で注目を集めているe-fuelやバイオ燃料の可能性を組み合わせれば、ロータリーエンジン単体を搭載した内燃機関のスポーツカー復活も夢物語とは言えなくなる。
「課題は多く、簡単な話ではないが、鍛錬を積んだ技術者たちを再結集した」と、マツダ毛籠社長は熱く語った。大事なのは「開発の技術を途絶えさせないこと」だし、より多くの人々が夢を持ち続けて、多様な未来を信じ続けることだ。
同じ日(2024.1.12)、期せずしてトヨタブースでは、モリゾウさん(豊田章男トヨタ自動車会長)が「佐藤社長に頼んで、(新規の)エンジン開発チームを立ち上げました」と発言して、こちらも記者たちの度肝を抜いた。
トヨタもマツダと同じく、内燃機関の夢を諦めていない。あの音や振動が好き、という層の想いを守るとともに、こうした新規開発技術は、現在ガソリンエンジン車に乗っている人たちの愛車を守り、世界中にいる内燃機関エンジニアの職と技術を守ることにも通じる。
「カーボンニュートラルへの道はひとつではない、マルチパスウェイこそ最善手」と言い続けてきたモリゾウさんの構想に、盟友マツダが「新型ロータリーエンジン」という選択肢で高らかに名乗りをあげた。これは熱い!!!!!
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