現行BMW3シリーズは2019年1月に日本導入されたが、主要モデルの新車価格は536万~672万円と高嶺の花。そう簡単には手を出せるほどのものではない。
その一方でまだ新車感覚がまだ残っている先代F30型BMW3シリーズ(2012年1月~2019年1月)の中古車は流通台数が多く、100万円台で買うことができる。
素人目にはかなりお買い得に見えるのだが、実際は激安といえるのか? 買っても大丈夫なのか? 輸入中古車事情に詳しい伊達軍曹が解説する。
文/伊達軍曹
写真/ベストカーweb BMW
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走行距離1万~3万kmの好条件が狙える先代3シリーズの中古車
メカニズムの面でも見栄の点でも「最新」にこだわりたい人は、600万円級の予算を投じてG20こと現行型のBMW3シリーズを買えばいいだろう。大変素晴らしいプレミアムサルーンである。
しかし「最新」であることにさほどこだわりがないのであれば、実はF30こと先代BMW3シリーズの中古車でもぜんぜん十分だ。
当然ながら各種性能は現行モデルよりは若干劣るわけだが、それは「厳密に言えば」のレベル。日本の速度域で使う分には、先代F30型3シリーズもまだまだ十分以上に素晴らしいクルマなのである。
そして何より先代F30型3シリーズの中古車は今、とってもお安い。「乗り出し100万円台」という現実的な予算でも、走行1万km台から3万km台ぐらいの好条件な中古車が買えてしまうのだ。
そういった物件であれば買った本人も十分満足できるはずで、そしてそれを見る周囲のほとんどの人もハッキリ言って現行型と先代の見分けなどついてはいない。
それゆえ、「BMW3シリーズを買うなら先代の中古でも十分!」と断言できてしまうのだ。
F30型3シリーズの約4割が総額100万円台
ということで今、車両本体価格ではなく「支払総額」が100万円台となる先代F30型3シリーズの相場状況について、仔細に紹介していきたい。
まずは全体の概況から。2020年7月上旬現在、大手中古車情報サイト「カーセンサーnet」に掲載されている先代F30型BMW3シリーズの総数は803台。
そのうち総額100万円台で買える物件の数は、総額表示がされていない物件もあるため正確な数は不明なのだが、仮に「車両価格180万円以下=支払総額100万円台」とするならば、その数は326台。つまり直近では「F30型3シリーズの約4割は総額100万円台」という状況になっているのだ。
続いて、グレード別の構成を見てみよう。総額100万円台でイケる先代BMW3シリーズのうち、もっとも数が多いのは、やはり販売上の中核グレードであった2L、直4ガソリンターボの「320i系」。これが326台中165台、つまり全体の約半分を占めている。
次に多いのが、同じ2L、直4ターボでもガソリンではなくディーゼルとなる「320d系」。こちらは116台で、全体の約35%だ。
そして320i系と320d系以外のグレードは、「総額100万円台」のゾーンにおいてはきわめて少ないか、あるいは皆無というのが実情である。
320i系と同じ2L、直4ターボだが高出力な328i系はわずか9台で、2016年9月に追加された1.5L、直3ターボを積む318i系も8台。プラグインハイブリッドの330eは5台で、328iの後期型である330iと、後期型から登場した3L、直6ターボの340iは、この価格帯ではいずれも0台である。
要するにこの価格帯=総額100万円台で先代F30型BMW3シリーズを買うのであれば、その選択肢はほぼ完全に「2L直4ガソリンターボの320i系か、それとも同ディーゼルターボの320d系にするか?」という“二択”になるのだ。
では、まずは最大勢力である320i系(2Lガソリンターボ)の相場について見てみよう。
総額100万円台の予算があれば、「320i」と名が付くすべてのグレードを狙えるが、もっとも数が多いのは、素の320iにちょいラグジュアリーなトリム類などを与えた「320iラグジュアリー」。
続いてほんのちょいスポーティな「320iスポーツ」が多く、その次に、内外装やサスペンションもグッとスポーティなものとした「320i Mスポーツ」の流通量が多くなっている。
その半面、簡素な装備内容にすることで価格を抑えた「320i SE」や、ちょっとキャラがよくわからない「320iモダン」、そして4WD版であるxDrive系は流通量がかなり少ないため、まぁ「無視するに値する」と言えるだろう。
要するに2L、直4ガソリンターボの先代3シリーズを探すのであれば「ラグジュアリー/スポーツ/名なし(ベースグレード)のノーマル系320iか、MスポーツサスやMエアロなどが装着された320i Mスポーツか?」という、ある意味二択で考えればOKだ。
そして両者の相場は「ノーマル系が安く、Mスポーツは20万円ぐらい高い」という基本的な傾向はあるものの、より具体的には「しかし結局はコンディションと装備内容次第」という部分のほうがデカい。
それゆえ、このあたりは「好みと予算、そしてコンディションで決めるしかない」というのが結論となる。
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