■一時代を築いたエスティマも2019年5月に生産終了
続いては、2019年5月に生産終了したトヨタエスティマだ。ミニバンで、いち早く強いブランド力を発揮し、ミニバンのドレスアップブームの火付け役となったモデルだ。
スポーツモデル一色だったカスタムカーショーをミニバンのドレスアップに変えた立役者でもある。「天才たまご」のキャッチコピーで初代エスティマがデビューしたのは1990年5月。タマゴをイメージさせるワンモーションフォルムのボディに、2.4L、直4エンジンを75度寝かせてミッドシップに搭載するという手品のようなレイアウトを採用した。
商用モデルをベースとしておらず、サスペンションにはフロントがマクファーソンストラット、リアにダブルウィッシュボーンという4輪独立懸架を採用し、他のモデルと差別化を図った。
1992年1月には5ナンバーサイズに抑えた、エスティマエミーナ/ルシーダを発売し、大ヒット。1994年8月の一部改良で、搭載するエンジンにスーパーチャージャー付きが設定。1998年1月のマイナーチェンジで外観デザインを変更すると同時に、エアロパーツを装着したアエラスを設定した。これ以降エスティマのエアロ装着グレードはアエラスとなる。
2000年1月にエスティマは初のフルモデルチェンジを行い、2代目にスイッチ。先代のミッドシップからカムリベースのFFに駆動方式が変更された。これにより搭載するエンジンは2.4L、直4に加えて、オデッセイプレステージに対抗し、3LV6エンジンを追加した。この2代目モデルから両側スライドドアとセンターメーターを採用し、これは最後まで引き継がれる。
そして、2001年6月にミニバンでは初となるハイブリッドのエスティマハイブリッドを追加した。2.4Lエンジンのハイブリッドシステムは、10・15モード燃費で18.0km/Lという優れた燃費性能を発揮。また、最大1500Wの発電機能により家庭用電気機器も使用でき、高い利便性が話題となった。2003年にマイナーチェンジを行い内外装の変更を行っている。
3代目の最終モデルは2006年1月に登場し、13年というロングセラーモデルだった。RAV4などと共通の新MCプラットフォームを採用しているが、リアは専用設計となった。外観デザインは先代モデルのアップグレードだが、ルーフが浮いているように見える「フローティングルーフ」を採用。
搭載するパワートレインは最高出力280psを発生する3.5LV6をはじめ、2.4L直4そして2.4直4エンジン+モーターのハイブリッドの3種類。ハイブリッド車の燃費は10・15モード燃費で20.0km/Lまで向上している。
マイナーチェンジは2008年、2012年そして2016年に行い、2016年のマイナーチェンジでは、衝突回避支援パッケージの「トヨタセーフティセンスC」を全車に標準装備し、安全性を向上させた。その一方で、3.5L、V6エンジンを廃止し、グレードもアエラスに1本化されるなどモデルの統廃合を行った。
エスティマが廃止されたのは、2020年5月に行われたトヨタの販売チャンネル統合を見据えた車種整理が大きな要因。また、ミニバンの主力がアルファード/ヴェルファイアとハコ型に移行し、ワンモーションフォルムのエスティマのニーズが薄れたことが挙げられる。
現在、エスティマの中古車は2300台。エスティマハイブリッドは450台流通している。そのうち、初代エスティマは11台流通していて、平均価格は約57万円。価格帯は約20万〜約110万円となっている。
2代目エスティマはガソリン車が91台流通していて、中古車の平均価格は約31.5万円、価格帯は約10万〜約100万円。ハイブリッドは約10台流通していて、平均価格は約54.7万、価格帯は約15万〜約80万円となっている。
現行型、3代目のガソリン車は2090台と非常に豊富で、平均価格は約78.4万円。価格帯は約10万〜約500万円と幅広い。ハイブリッドの中古車の流通台数は413台で、平均価格は約132万円。価格帯は約20万〜約479万円となっている。100万円台の中古車の豊富で探しやすいのが魅力。
コメント
コメントの使い方