大型連休後半、まだまだ間に合う!! SL列車で「乗り鉄」を楽しもう!!

大きさも形もさまざま SLの顔ぶれは?

 SLには用途や作られた時代によりさまざまな大きさや形態がある。左右のシリンダから動力を伝えるメインの車輪=動輪の直径が大きくて数が少ないのが旅客用、直径が小さくて数が多いのが貨物用だ。動輪径が大きければ1回転ごとに走れる距離は長いのでスプリンター向きであり、小さければ速度は出ないが空転は少なく重い列車を引くことができる。自動車風に言えば、動輪の直径が大きいのは「ハイギアード」、小さい動輪直径は「ローギアード」ということになる。日本の大正期以降では一般的に旅客用は動輪が3軸(C形)、貨物用は4軸(D形)が多く採用され、地方線区の客貨両用にはC形で動輪径が小さめの小型機関車が製造されてきた。有名な「デゴイチ」は形式名をD51といい、この「D」が動輪4軸を表している。動輪の軸数はA→B→C→D→Eとアルファベット順に数が増えていく。

 また、本線で長距離を走るものは石炭と水を積む専用の車(炭水車・テンダー)を本体の後ろに付けているが、地方の短距離用には軽量化対策とバック運転に便利なように炭水車を省略し、水タンクはボイラの両側に、石炭は運転室の後ろに積んでいる。機関車トーマスはこの「タンク型」だ。参考までに、SLの形式名のアルファベットに続く数字が10番台は「タンク型」、50番台、60番台は「テンダー型」を表す。

「デゴイチ」の愛称でSLを代表するD51は、大型のテンダー型の蒸気機関車。昭和30年代までは全国各地の幹線で活躍した
「デゴイチ」の愛称でSLを代表するD51は、大型のテンダー型の蒸気機関車。昭和30年代までは全国各地の幹線で活躍した

 現在、観光用SL列車で一番数が多いのはC11形タンク機関車で、JR北海道『冬の湿原号』の「C11 171」、東武鉄道『SL大樹』の「C11 207」「C11 325」、大井川鐡道の「C11 190」「C11 227」の5両もある。このうち、東武鉄道の207はJR北海道からの借り受け、325は真岡鐵道からの移籍で、東武では現在もう1両の「C11 123」を復活整備中。すでに試運転を開始しており、間もなく営業運転に使用開始される予定だ。

 大井川鐵道ではC11形のプロトタイプとなったC10形「C10 8」も所有している。これらのC10、C11形は小型軽量で使いやすいわりに力が強く、客車3~5両の観光列車を引くには十分であることから各所で復活できたのだろう。

 次に多いのは本線旅客用のC57形テンダー機関車で、JR東日本『ばんえつ物語』の「C57 180」とJR西日本『SLやまぐち号』の「C57 1」。本線用貨物機の代表格D51形も2両あり、JR東日本『SLぐんま みなかみ/よこかわ』の「D51 498」と、JR西日本『SLやまぐち号』の「D51 200」。地方線区客貨両用のC58形も2両で、JR東日本『SL銀河』の「C58 239」と秩父鉄道『パレオエクスプレス』の「C58 363」。残りは各1両ずつで、真岡鐵道『SLもうか』の「C12 66」、JR東日本『SLぐんま みなかみ/よこかわ』の「C61 20」、大井川鉄道の「C56 44」、JR九州『SL人吉』の「58654」というラインナップとなっている(2021年4月現在現役でないものを除く)。このうち、大井川鐵道の「C56 44」は戦時中にタイに運ばれたものを里帰りさせた特異な経歴があるのが珍しく、JR九州の「58654」は1922(大正11)年製とずばぬけて古い。

JR九州「SL人吉」を引くのは大正生まれの古典機関車「58654」。8620形という形式の蒸気機関車で「ハチロク」と呼ばれたりもする。大正生まれながら、部品のほとんどを新しく作り直して運行を続けている
JR九州「SL人吉」を引くのは大正生まれの古典機関車「58654」。8620形という形式の蒸気機関車で「ハチロク」と呼ばれたりもする。大正生まれながら、部品のほとんどを新しく作り直して運行を続けている

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