スズキらしいクルマだな、とまず感じたのがこのクロスビーの第一印象。超売れっ子のハスラーのアイデンティティをしっかりと色濃く受け継ぎつつも、5ナンバーサイズになったメリットをしっかりいかしているのも特徴。
そんなクロスビーの1月の販売台数は2442台。
これは登録車では同社のソリオ(3342台)、スイフト/スイフトスポーツ(2664台)に次ぐ第3位。年末の登場だっただけにご祝儀相場な感もあるが、この勢いがどこまでも続きそうな予感もある。
今回はこのクロスビーに”コスパの鬼”でもあるジャーナリスト、渡辺陽一郎氏に試乗インプレッションしてもらった。
文:渡辺陽一郎/茂呂幸正
ベストカー2018年2月26日号
■クロスビーは「みんなで、もっと遠くまで遊びにいきたいクルマ」がテーマ
クロスビーは「ハスラーの小型車版が欲しい」というニーズに応えて開発された。確かにフロントマスクは似ているが、全幅はクロスビーが1670mmだから、軽自動車のハスラーより約20cm幅広い。フェンダーにも丸みがあり、外観からハスラーらしさは意外と感じられない。
全長は3760mmで、全幅を含めてスイフトよりも小さいが、全高が1705mmに達するから車内は広い。前席は肩まわりのサポート性がハスラーよりも優れ、小型車らしいボリュームがある。
後席は薄手だが座った時の底突き感もなく快適。前後席のヒップポイント間隔はハスラーと同じ1mだが、セダンに当てはめるとLサイズに相当する。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕があった。ボディは短いが4名乗車も快適だ。
荷室は床が高く、路面から80cm離れている。スペーシアの51cmを大幅に上回り、重い荷物を積む時は少々辛い。床が高い理由を開発者に尋ねると「バンパーを高めにして、SUVらしい外観に見せるため」だという。
床が高いから、床下のアンダーボックスには充分な深さがある。床面のボードをはずすと、ベビーカーを立てて積める。寝かせて積むのに比べて面積を取らず、ほかの荷物も収納しやすい。
エンジンはマイルドハイブリッドの直列3気筒1Lターボのみを搭載する。開発者は「みんなで、もっと遠くまで遊びに行きたい」というコンセプトで開発したから、動力性能に余裕のあるターボだけにしたという。
動力性能の数値は自然吸気の1.5Lと同等だ。1Lターボを選んだ理由を尋ねると「低回転域の駆動力に余裕があり、実用燃費も1.5Lより少し有利になる」との返答だった。
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