三菱パジェロといえば日本のSUV、いやそんななまぬるいものではなく、まさに「4WD」を代表する名車である。
しかし2006年10月の登場以来モデルチェンジはしないし、かつての盟友デリカがアクティブギアで躍進を続けるのにパジェロはなんだか地味になってしまった。
2017年の月間販売平均台数90台という超マイナー車種になってしまったが、かつてはテレビ番組でダーツの賞品だった華やかしい時代を担当は忘れてていないぞ。パジェロは現行モデル。
三菱が大事にしているネーミングでもある。そんなパジェロに編集部員が乗ってみた。「変わらない強さ」がありそうな気がします。
文:ベストカーWeb編集部/写真:塩川雅人
■厳しい現実をどう受け止める!?
三菱パジェロといえば日本を代表する4WDであり、世界中の極限状況で今日も愛用されるクルマだ。
しかしそんなパジェロだが、2006年10月のフルモデルチェンジ以来、コツコツとエンジンなどのマイナーチェンジを繰り返しているものの、大きな動きがないことも事実。
いっぽうのライバルであるトヨタランドクルーザーは高級路線に方向転換し、世界の主要マーケットで4WDの頂点に君臨している。
近年パジェロはマーケットで徐々にその勢いを失いつつあり、2017年11月の販売台数は70台程度だ。デリカD:5が1042台、アウトランダーシリーズが647台(内PHEV235台)など、同社SUVとの比較では数字的にはかなり厳しいものがある。
三菱関係者に話を聞くと「安全装備をつけたい、快適装備を充実させたい」なんて声も聞こえるが、全員が揃って言うのが「パジェロの本質はたとえ次期型でもこのまま変わらないです」ということ。
モデルチェンジのウワサもあまり聞こえないパジェロだが、そんなパジェロを借りだして1泊2日で体感してみた。まさに10年の時を超えて生き続けるパジェロ。息吹を感じつつ試乗してみた。
■古くさいけど、これ「が」いいのかも
最初から結論をいえば、とにかくクラシックだった印象。さすがに以前復活した70ランクルのような「トラック感」はないものの、もしかしたら「趣を感じる」ってこんな感じなのかもしれないと実感した。
古くさいと批評するジャーナリストは多いかもしれないが、逆をいえばなにも余分なものがついていないからこその興奮を覚えてしまう。PS4が全盛のいま、あえてNINTENDO64に戻りたくなるような感じだ(本企画となんの関係もないが担当は「ゴールデンアイ 007」が好きだ)。
乗り込んだ時からそのコックピットがなんだか「やる気」にさせる。ロシアあたりのオーナーが永久凍土を爆走する気分になるのだ。なんせインパネからしてもう懐かしい感じがしてくる。
どこを探してもUSBポートもなければ、アウトランダーに設定のあるAppleCarPlayなんてシャレた機能も持たない。ナビこそあるものの、ブルートゥースなんてないし、むしろ地図で走ればいいじゃん、くらいの気概を感じる。
近年のクルマはユーザーに歩み寄ってくれる親切感がある。パジェロは極めて孤高。突き放すことはぜったいないけど、高倉健さん的な感じがする。後から気づく優しさパターンだ。
さらに珍しくなってきたキーシリンダーにキーを差してひねるという行為も健在。きっとあと10年もしたらクルマの物理的なキーなんてものも消えていくだろうから、こんなに鍵山をまじまじと見る機会を与えてくれていることにも感謝だ。
冷え込んだ真冬の朝にクランキングをすると、3.2Lのディーゼルエンジンは「カラッカラッカラッカラッ」と目覚める。アイドリングストップなんざ生やさしいものはないし、人によっては騒々しいほどのエンジンサウンドが響き渡る。きっとエコカーに慣れたご近所さんはうるさい、と思うかも。
ステアリングからもエンジンの鼓動はぶるぶると伝わってくる。きっとジャーナリストが乗ったらここはダメだと指摘するかも。でも担当、「パジェロだよね、こういう感じ」と思う。
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