マツダは、1月10日に開幕した欧州ブリュッセルモーターショーにおいて、長安マツダが手がける電動サルーン「EZ-6」を「MAZDA6e」として発売すると発表した。せっかく「マツダ6」の名前が付いたのに、日本や北米への導入予定はなし。なんでマツダはこのクルマを欧州だけで売るのか。そこには自動車メーカーの厳しい事情があった!
文:ベストカーWeb編集部/写真:マツダ
【画像ギャラリー】マツダ製ハイブリッドを積むかもしれないEZ-6をたっぷり見て!(30枚)画像ギャラリー事実上の新型MAZDA6となったEZ-6
2024年春の北京モーターショーでデビューを飾ったマツダEZ-6。マツダの中国合弁会社である長安マツダが手がける電動FRセダンで、プラットフォームは長安汽車製、現地価格はBEVでありながら320万~400万円という注目の1台だ。
このEZ-6、登場時期が日本のMAZDA6生産終了と重なったことから、これこそ次期MAZDA6と騒がれたが、マツダの公式見解では日本導入予定はなし。主力市場である北米での投入も未定のようだ。
そうこうしているうちに、マツダが「MAZDA6e」という名前を商標登録していることが判明し、今回のブリュッセルモーターショーでの発表となった。「状況証拠」としてはEZ-6が新型MAZDA6になったわけだが、どうもすっきりしない展開ともいえる。
【画像ギャラリー】マツダ製ハイブリッドを積むかもしれないEZ-6をたっぷり見て!(30枚)画像ギャラリーEUのCO2規制に対する対策か?
それにしてもなぜマツダは欧州だけでMAZDA6eの販売を急ぐのか。その裏にあるのが、2025年から強化されるEUのCO2規制だ。
2023年時点で、EU域内で販売される乗用車のCO2排出量の平均値は106.6g/kmだったが、これが2025年から93.6g/km以下へと厳格化される。この基準値をクリアできないと、域内でビジネスをする自動車メーカーは、多額の罰金を支払うことになるのだ。
その額がハンパじゃない。欧州自動車工業会の試算によれば、全自動車メーカーが払う罰金の総額は、130億ユーロ(約2兆円)にものぼるという。
そんな罰金を少しでも抑えるにはどうするか。CO2排出で有利な純EVメーカーから浮いた排出量を買い取るという方法もあるが、長期的に有利なのは自社のラインナップにBEVを増やし、ブランド全体のCO2排出量を少なくすることだ。
マツダの今回の動きは、まさにこの流れにそったものであると予想する。マツダは今のところ、MX-30に続くBEVをリリースできておらず、このままでは欧州市場では相当の罰金を課されざるを得ない。MAZDA6eはそんなマツダを救う貴重な1台というわけだ。
いっぽうMAZDA6eがBEVである限り、EV市場が足踏みしている日本や北米では売りづらいことも事実。あくまで妄想だが、現在マツダが開発中のストロングハイブリッドなどが搭載できれば、導入可能性は俄然高まるだろう。MAZDA6eのEPA1プラットフォームは、PHEVなども積めるハイブリッド型だからだ。
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