2025年のEV市場を揺さぶりそうなヒョンデ インスター。空白市場に切り込むコンパクトSUVで、実質250万円以下で買えるというんだから無視できない。とはいえこのインスター、なんで全幅が1610mmなのだろう? 5ナンバー枠でも軽自動車枠でもない「中途半端」な全幅のワケが実に意外だった!
文:ベストカーWeb編集部/写真:ヒョンデ、
【画像ギャラリー】インスターの後席がスライド&リクライニングする姿を写真でチェック!(62枚)画像ギャラリー■5ナンバー枠でも軽自動車枠でもない
年初の東京オートサロンで初公開されたヒョンデのインスター。「SAKURAより大きくリーフより小さい」という空白のEVカテゴリーに、284万9000円~という価格で殴り込みをかけたのだから注目されないわけがない。新たなEVユーザーをガンガン発掘しそうなクルマだ。
とはいえそのボディサイズをみるとちとギモンがわく。3830mmという全長はともかく、1610mmという全幅がなんとも中途半端に思えないだろうか。5ナンバー枠に収めたにしては小さいし、軽自動車枠の1480mmよりは大きい。
ちなみにインスターとよく似たロッキー/ライズは全長が3995mmで、全幅は5ナンバー枠ギリギリの1695mmだ。
なんでインスターは1610mmなのか。その謎を解くカギは、韓国独自の自動車規格にある。実はインスターには「キャスパー」というベース車があり、そのキャスパーは韓国の軽自動車枠で作られている。なんと韓国にも軽自動車枠があるのだ!
【画像ギャラリー】インスターの後席がスライド&リクライニングする姿を写真でチェック!(62枚)画像ギャラリー■韓国の軽自動車規格は日本より大きめ
正確にいうと、韓国の軽自動車には「超小型」と「一般」という2つがある。超小型は全長3.6m以下、幅1.5m以下、高さ2m以下だが、エンジン排気量が250cc(または15kW)未満に制限されるためほぼマイクロモビリティでしか使えない。
いっぽうキャスパーが属するのは、後者のほう。こちらは全長3.6m以下、幅1.6m以下、高さ2m以下で、エンジンは1000cc(または80kW)未満まで搭載できる。キャスパーのスペックは全長3595mm、全幅1595mm、全高1575mm、排気量998ccだから、この規格ぴったりなのだ。
つまりインスターの1610mmという全幅は、ベース車キャスパーの1595mmに、ややワイドな樹脂製オーバーフェンダーをつけて対応したものといえる。ちなみに韓国の軽規格が日本に比べてサイズも排気量も大きいのは、韓国の現行規格が2008年と、比較的最近定められたためと思われる。
さて、インスターのボディサイズだが、これだけじゃ終わらない。ベース車キャスパーの全長が3595mmと聞くと、なんでインスターは3830mmなのかということが気になってくる。235mmも長いのだ。
サイズ拡大の大半はホイールベースの延長が担っている。インスターのホイールベースは2580mmで、キャスパーと180mmも違う。
【画像ギャラリー】インスターの後席がスライド&リクライニングする姿を写真でチェック!(62枚)画像ギャラリー■バッテリーがキャスパーの床に収まらない!
その理由だが、実は搭載バッテリーの都合だという。
ヒョンデはインスター(本国名:キャスパー エレクトリック)の開発にあたり、日本はもちろん欧州でも市販しようと考えた。となると問題はバッテリー容量。過度に大きなバッテリーは重量増を招くので不要だが、長距離移動の多い欧州では300km程度の航続距離が求められる。
そこでヒョンデは、軽装版の42kWhに加えて、49kWhのバッテリーを積もうと考えた。ところがこの49kWhバッテリー、長すぎてベースとするキャスパーのフロアに収まらない。やむなくヒョンデはキャスパーのロングホイールベース版を設計した。これがインスターになったというわけだ。
実際にキャスバーとインスターの画像を重ね合わせてみると、フロントドアまでは共通だが、リアドアの長さと後端のCピラーの幅が長いことが分かる。もちろんその恩恵は後席の余裕として現れており、このサイズのSUVとしては異例のくつろぎ感がある(インスターの後席はスライドやリクライニングもする!)。
というわけでインスターはいろんな意味で2025年の日本EV市場の台風の目となりそう。気になる人はぜひ一度実物を目撃してほしい。
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