ホンダの小型セダン、新型シティの価格は日本円で200万円台前半から。歴代初「RS」設定の理由は?
2019年11月25日、ホンダは新型「シティ」をタイ・バンコクにて11月28日から開催中である「タイ国際モーターエキスポ2019」で世界初公開した。
日本では「グレイス」として販売され、往年の名車と同じ車名を持つホンダの世界戦略車はどう変わったのか?
歴代初となるスポーティグレード「RS」を設定した理由、そして日本導入の見通しを含めて、現地取材で明らかになった最新情報をレポート。
取材・文:大音安弘
写真:大音安弘、HONDA
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“ホンダの顔” 新型シティはスポーティ路線に進化!
かつてシティといえばハッチバックモデルであったが、現代版シティは、1996年に新興国市場をメインに開発された小型4ドアセダンの世界戦略車を指す。
日本にも第4世代モデルが「グレイス」の名で投入されている。初代から先代なる第4世代は、世界60か国で販売され、累計販売台数は400万台にものぼる。タイでも人気車のひとつであり、歴代モデルを含めたタイ国内の累計販売台数(2019年9月末)は、60万台以上を誇る。
2018年の実績では、タイのホンダ車年間販売台数の約13万台のうち、シティが約3.5万台を占めており、まさにタイのホンダの顔のひとつといえる車種なのだ。
そんな第5世代となる新型シティの特徴としては、スポーティなスタイル。そして力強い走りと低燃費の両立が挙げられる。
スポーティに纏められたエクステリアは、よりグラマラスなスタイルへと進化。フロントマスクは、立体的なバータイプグリルとLEDデイタイムランニングライトを直線的に結ぶことで、メッキグリルによる押し出しの強さだけでなく、クールな表情も併せ持つ。
ボンネットもより立体的となったことで、パワフルな走りも予感させてくれる。サイドビューは、面の美しさを表現しながらもフロントからリヤまでシャープなキャラクターラインを与えたことで、上品な雰囲気と疾走感を両立。
ショートデッキとなるリアエンドは、大型のLEDテールランプによって引き締められており、小さいながらも、迫力あるスポーティなスタイルへと見事に纏め上げた。
初搭載の1Lターボエンジンは欧州シビックをもとに最適化
ボディサイズは、従来型よりもややアップとなる全長4553mm×全幅1748mm×全高1467mm。ホイールベースは、2589mmとなる。プラットフォームについては、新規ではなく、4代目(※現行グレイス)をベースに開発されている。
インテリアは、室内空間は先代同等をキープしているが、より最適化を図ることで前後共に快適なスペースを確保したという。
ダッシュボードは、水平基調デザインのシャープかつ実用的なスタイルとし、ダッシュボード中央には、ディスプレイオーディオを標準化。
上級モデルには、「Android Auto」や「Apple CarPlay」、Siri音声制御を備えた8インチの高度なタッチディスプレイオーディオを搭載。さらに「HONDA CONECT」と呼ぶスマホアプリが用意されるなどコネクト機能も強化されている。
パワーユニットは、全車1.0L直列3気筒DOHC VTECターボエンジンを搭載。これにCVTが組み合わされる。最高出力122ps/5500rpm、最大トルク173Nm/2000~4500rpmを発揮。燃費性能は、23.8km/L※と低燃費を誇る。
先代の1.5L自然吸気エンジンよりもパワフルなうえ、アイドリングストップ機能とCVTを組み合わせたことで、従来型比33%の燃費改善を図っているという。
燃料については、エタノール20%混合となるE20ガソリンに対応する。このターボエンジンの導入は、タイのエコカー減税基準の低燃費を達成しつつ、力強い走りを犠牲としないことが目的だそう。
ベースは、欧州シビックに搭載されるエンジンで、タイ法規仕様に適合。エンジンレイアウトを最適化することで、ひとクラス上のシビックのパワートレインの搭載を実現した。
また、変更点として、インタークーラーがシビック用と異なり、空冷式ではなく、水冷式を搭載。これはタイの厳しい交通渋滞を意識したもので、アクセルレスポンスの向上が目的だという。
CVTのみの設定となるのも、特に都市部で激しい渋滞がみられることから、乗用車ではATが好まれる傾向を組んだものだ。
※UN R101 (E5)基準に基づく数値
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