2025年1月の東京オートサロンでの発表以来、多くの自動車ファンの注目を集めてきたスバル S210。5月下旬から抽選エントリーが開始されたが、ひと足先に山本シンヤ氏、桂 伸一氏、大谷達也氏にその乗り味をレビューしていただこう!!
※本稿は2025年5月のものです
文:山本シンヤ、桂 伸一、大谷達也/写真:スバル、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年6月10日号
スバルのSシリーズ最新作がいよいよ登場!
いよいよ2025年5月下旬から抽選エントリーが始まるS210。500台限定のSシリーズの最新作にして、初の2ペダルモデルということもあり、スバリストをはじめ、多くのファンから非常に注目が集まっている。
紙のベストカーでは5月10日号にて、国沢光宏氏がS210の仕上がりをレポートした。
試乗の舞台は、雨の修善寺サイクルスポーツセンター。悪条件のなか、国沢氏はシャシー性能の確かさや、ドイツ製ハイパフォーマンスセダンに比肩しうるドライブフィールの質感の高さを評価。キーポイントであるCVTについても、レスポンスのよさに太鼓判を押している。
今回レビューを務める山本シンヤ氏、桂伸一氏、大谷達也氏の3人は、S210をどう斬る!?
山本シンヤ「踏めば速いがゆっくり走らせた時の心地よさも」
2ペダルモデルのSシリーズに賛否両論のS210ですが、個人的にはシリーズ史上最良の仕上がりと断言できます。
内外装は変更項目こそ少なめですが、効果的な部位の変更でベース車とは違う「大人のオーラ」をプラス。個人的にはマグネタイトグレーがベストマッチかな……と。
エンジンは阿吽の呼吸で反応するレスポンスと、精緻な滑らかさを持っています。専用SPTはラバーバンドがないどころかダイレクト感すらある歯切れのよさ。CVTであることを本当に忘れるレベルです。
フットワークも、応答性の高さや動きの正確さ、4輪を上手に使った綺麗な旋回姿勢など、歴代モデルのよさをキチンと継承。
それだけでなく、より軽く、小さいクルマに乗っているような「手の内」感やスムーズさがプラスされています。一方で乗り心地はスポーツセダンとは思えないほど優しい。とにかく懐が深いです。
アクセルを踏めばハイパフォーマンスですが、ゆっくり走っている時の心地よさ、気持ちよさも格別。「駆けぬける歓び」だけでなく「駆けぬけない歓び」も備えています。
プレミアムセダンとリアルスポーツセダンが共存する、実用域から超高速域までハイレベルな「究極のグランドツアラー」であるS210。現時点では「究極のスバル」と言っていいクルマだと思います。
●ポイント採点チェック
・ハンドリング:9.5点
・加速性能:8点
・ブレーキ性能:9点
・スタビリティ:9.5点
・操る楽しさ:9点
・ノーマルからの進化度:8.5点
桂伸一「正確さと扱いやすさ重視“ニュル仕様”のお手本セッティング」
エンジンはアクセルひと踏みでスッと動き出す俊敏なレスポンス。300psに対応したCVTは左右のパドルが有効で、高速からのシフトダウンも受けつける、スポーツドライビングにも適した制御だ。中間域からのフル加速時に一瞬空転感はあるが、変速感もあるのでまずは合格点。
操縦性は、峠道とサーキットを合わせたようなコースを超高速で駆け巡るニュル24耐車両の操縦安定性を目指したと聞くと納得。クイックというより、リアをグリップさせてクルマを正確に動かすことを重視している。
ステア操作に素直に応答し、タイヤのグリップ限界を超えるとアンダーステア方向に逃がす特性も、ドライバーが挙動変化を掴みやすい。
筆者はニュル24hに8度参戦し、クラス優勝とリタイア各2回、表彰台数回。ニュルで何が重要かを実体験ずみだ。
その感覚で言うと、255幅にサイズアップしたタイヤによる前後のグリップ感、エンジン出力を余すことなく伝えるトラクション性能は、“ニュル仕様”を目指すとこうなる、というお手本のような仕上がりだ。
カーボン製シートも、操作に集中できる環境に重要なホールド性、小柄なドライバーにも対応する前後・高さ方向の広い調整幅を持つ。「誰がどこで乗っても意のままに操れる」という、STIが目指したS210の方向性の表れと理解した。
●ポイント採点チェック
・ハンドリング:8点
・加速性能:8点
・ブレーキ性能:9点
・スタビリティ:10点
・操る楽しさ:8点
・ノーマルからの進化度:10点



























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