雑誌だったかネットだったか忘れたが、「イケてる男はSUVに乗る!」という記事の見出しを見て「そうかもね」と納得してしまった担当。
その0.2秒後に頭を抱えてしまった。「それでえーんかーい!」「スポーツカーはあかんのかーい!」と。
近年スポーツカーの立場が危うい。一般人が引くくらいに「マニアな乗りもの」になっているのがチト辛い。いつからこんなことになってしまったのか。そこを徹底的に追求する!
文:ベストカー編集部
ベストカー2016年7月10日号
走りの追求が生んだ悲劇なのか?
スポーツカーがマニアな乗りものになったのはいつ頃からか? それを探るべく、担当は1993年に注目した。
80スープラ、3代目インテグラ、R33スカイライン、6代目セリカ、S14シルビアが登場し、年末にはランエボIIも発売された。
登場車種の豊富さをみてもわかるとおり、スポーツカーはまだ盛り上がっていたし、マニアなクルマ好きだけのものでもなかったはずだが、当時の本誌を改めて読んでみると、よからぬ兆しが見て取れたりもする。例えばこうだ。
ベストカー1993年7月10日号に、アイドルグループ「ポチ」による「こんなクルマと男の子がベストよ!」という記事がある。3人組の彼女たちは編集部の質問にこう答えているのだ。
Q RVとスポーツカーではどちらがいいと思いますか?
早織「夏はやっぱりRV。でも天王洲アイルみたいなところに行くんだったらスポーツカーがいい。でも私って、スポーツカーよりワンボックスやRVのようなクルマのほうが好きなの」
裕子「私はゆったり4人乗れるような乗用車」
智美「私はRVもスポーツカーもどっちも好き。ランクルを運転したことあるんだけど、すごい目線が高くて気持ちよかった」
キミらはいったい誰やねん? という話だが、明らかにスポーツカー劣勢。「私はRVもスポーツカーもどっちも好き」と口を開いた智美さんも、最終的には「ランクル最高」と落としてくる始末だ。
さらに、この号ではアイドル30人にクルマに対する意識調査も行っていて、これには森口博子、新田恵利、中嶋美智代、寺尾友美、立花理佐など、当時の若者なら何かとお世話になった売れっ子アイドルが総登場。
そんな彼女らにも「RV車とスポーティカーどっちが好き?」という質問をしているのだが、その支持率はRVが68%、スポーティカーが32%という結果に。今から23年前からすでにスポーツカーには逆風が吹きすさんでいたことがわかる。
ここまで読んで「アイドルの好みなんてどうでもいいわ!」と思った方。その気持ちはわかりますよ。
だが、ここからが本筋。この頃のベストカーには「スポーツカーがマニアの乗りものになってしまうのもしかたないかな?」と思える記述が頻繁に出てくるのだ。それはマニアックすぎるインプレッションだ!
同じく1993年7月26日号のベストFRスポーツを探る記事で、某評論家氏はこんな原稿を書いている。
【FD型RX-7について】
ドライバーをピリピリと刺激する走りを見せてくれる。そのフィールはレーシングカー並みで、振り回すには上級者でもちょっとやっかいというところもひとつの魅力だ。
クルマを「振り回す」うえに、それが「ちょっとやっかい」なのが「魅力」と言っているのだ。危ないって!
【NA型ユーノスロードスターについて】
手頃なサイズでかっこよく、しかもフルオープンで自然との触れ合いが満喫できる。決して速くはないが、軽快なハンドリングとバツグンのシフトフィールは明快に“スポーツ”をもたらしてくれるし、NAならではのレスポンスのよさとビートの効いたスポーツサウンドも気分をすっきりさせてくれるのだ。
ここまではいい。爽やかな気分で走りを楽しめそうだ。しかし、文章はこう続く。
さらにFRならではのドリフト走行が自在にできてしまうのも、大きな楽しみといえるだろう。
どうしても振り回し系に話がいってしまうのだ。
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