登場から数日で受注停止となるなど、想像の上を行く人気ぶりを見せつけたスズキ ジムニーノマド。注文できない人、納車待ちの人、そして走っているのを見たいのに見られない人のために、ノマドの初試乗レポートをお届けする!!
※本稿は2025年8月のものです
文:片岡英明/写真:奥隅圭之、スズキ
初出:『ベストカー』2025年9月10日号
ノマドの走りは新たな魅力!
注文が殺到してわずか4日でオーダーストップになったジムニーノマド。増産体制の発表はあったが、いまだ受注再開とはなっていない。目の前に現われたカスタマイズされた5ドアのノマドはジムニーショップAPIOのデモカーだ。
ジムニーシエラと並べてみると、340mm延びている全長とホイールベースが一目瞭然。フロントドアを100mm詰めたこともあり、バランス感覚は絶妙だ。外観をドレスアップし、ホワイトレターのマッドテレーンタイヤを履いたから1ランク上の車格に見える。
もちろんジムニー自慢の強靭なラダーフレームを継承。センターフレームを延長し、センタークロスメンバーやサイドフレームリーンフォースを追加して剛性アップを図った。サスペンションも前後とも3リンクリジッドアクスルだ。ただし車重が100kg増えていることを考慮してリアサスペンションは強化された。
パワーユニットはシエラと同じK15B型直列4気筒DOHCだ。意外にも動力性能やギア比、デフの最終減速比は変わっていない。今回ステアリングを握ったのは4速AT車だ。
穏やかでバタバタしない乗り心地
ワクワクしながら走り出す。発進からの加速は、同じエンジンを積むシエラより穏やかで、上り坂では100kgの重量増をちょっと感じる。だが、平坦路をひとりでドライブした時はストレスを感じなかった。ちなみに燃費は、ちょっと悪くなっているようだ。
街なかやバイパス路を流すような走りでは、軽自動車のジムニーはもちろん、3ドアのシエラよりはるかに快適だった。高速道路での100km/h走行は2900rpmでこなすが、この速度域になるとコモリ音やノイズの高まりも感じるようになる。
軽ジムニーやシエラと大きく違うのは乗り味だ。ジムニーと比べて上下の揺れが大幅に少ない。トレッドの広いシエラは多少、抑えが利いているが、ホイールベースの長いノマドは上下の無駄な動きを上手に抑え込んでいる。また、荒れた路面の段差や突起を乗り越えた時のガツンとくる衝撃も大違いだ。
直進安定性、乗り心地ともに上級と感じられる。コーナリング時の安定感とコントロール性も1ランク上だ。操舵の落ち着き、後席の乗り心地など、多くの点で優位に立っている。
数少ない弱点は小回りが利かないことで、最小回転半径は5.7mだった。狭い道でのUターンは苦手だ。
充分実用的なリアシートとラゲッジスペース
5ドアであることに加え、後席とラゲッジルームが広くなっているからファミリー派にも魅力的な存在と映るだろう。後席は足もと、頭上空間ともに満足できる広さだ。シートの横方向が広くなり、クッションも厚みを増している。
座面はもう少し長さが欲しいが、座り心地はシエラと雲泥の差だ。これなら長時間のドライブもこなせるだろう。
気になる乗降性も合格点だ。リアドアは大きく開き、足さばきもそれなりに上手にこなせる。ラゲッジルームも実用になる広さだ。奥行きが増しただけでなくフロアも低くなっているから荷物を出し入れしやすい。
ジムニーノマドは実に魅力的で、こんな風にカスタマイズして乗るのも楽しいオールマイティな本格派SUVだ。



























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