2025年現在、神奈川トヨタの販売店における外国人整備士の割合は4人にひとり。この事実を知って、心の中に「不安」がよぎった読者は、この記事を熟読していただきたい。今、重要なのは、「日本人のココロの開国」なのだ!!
※本稿は2025年8月のものです
文、写真:広田民郎
初出:『ベストカー』2025年9月10日号
彼らから教えられることたくさん!! 外国人整備士に直撃インタビュー
「神奈川県下で117店舗の販売店、自動車整備士の約800人のうち今や約200人が外国人です」「わが社は全国に約250のディーラー工場。整備士さんの数は約2300人、うち450人が外国人です」
前者は神奈川トヨタの担当者、後者は三菱ふそうトラック・バス広報部からの最新情報だ。今や整備士の4人にひとりが外国人という事実。ことの善し悪しはともかく衝撃だよね。
今、クルマそのものが大変革の時代だが、クルマ社会を支える整備士の世界でも“大きな地殻変動”が起きている。
日本の若者のクルマ離れで整備士のなり手が少なくなっていると聞いてはいた。どうやらこのことと繋がる? その真相を探るべく、現在活躍中の外国人整備士に直撃インタビューすることにした。
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横浜駅の近くにある「マイクス横浜店」で、トヨタ車を整備しているミャンマー人のピョーさん(30歳)。お国の大学で経済学を学んだ後、日本でクルマやバイクのバイヤーをしていた祖父の影響で日本への関心が膨らんだ。
来日後、日本語学校で2年間言葉を学び、さらに亀有の自動車整備専門学校で2級整備士の資格をゲット。2022年4月にトヨタディーラーに就職、いまや明るい笑顔で職場に溶け込み、ハッピーな生活を送る。
ピョーさんと同じ横浜の店に2024年に入社したばかりのアインさん(27歳)は、ベトナム人だ。地元の高校を終え、1年間ベトナムで日本語学校に通い、来日後さらに2年間日本語に磨きをかけ、今やかなり流ちょうに日本語を操る。
技術は神戸にあるトヨタの整備専門学校でがっちり習得し、現在車検整備を主に、実践力を高めている最中だ。
驚いたことに、日本人整備士でもハードルが高い検査員(民間車検工場で車検の検査をすることができる整備士)の資格を持つハイレベルの整備士さんにも出会えた。
川崎の神奈川トヨタ中原店に4年前から赴任、今やこの店のサービスの中枢を担うネパールから来たクリスナさん(31歳)。上記2名とほぼ同じで、まず日本語学校で日本語の基礎を学び、それから2年間で自動車整備士国家2級の資格を取得して、各ディーラー工場に配属される。
クルマ一直線の人生を歩む人が大半だ。でも、クリスナさんは、当初ホテルでの接客業が志望だった。ところが池袋の日本語学校の先生の「君は整備士に向いている」のひと言でクルマの世界に入った。今でも「先生の言葉が正しかったと思います。満足しています」と満面の笑顔で返された。
得意とするところは、作業のスピード。同僚の誰よりも早く、正確だという。新しい整備作業でも、2、3回体験すれば自分のものになり、後輩に教えられるレベルまでいきますよ、と得意げに教えてくれた。
同じ中原店のカンデルさん(27歳)もネパールから来た若者。なぜ日本で整備士になったの? と聞くと「僕の国ではまだクルマは少ない。世界的に見て、クルマはまだまだ発展すると思うよ。だからこの仕事を選んだんだ」。かつて日本の戦後の青年が口にした言葉だ。これを輝いた眼で言われると、複雑な気分だ。
ラストバッターもネパールから来たミランさん(27歳)。インドとの国境に近い村の出身。歩いてインドに渡れるところだという。46歳の父親がネパールでバイクの整備士をしていることから、子どもの頃からクルマを整備することに憧れていたという。
「クルマを整備する技術はネパールではまだまだ乏しい。お客様の命を守る仕事でもあるので、やりがいがある。今は国家2級整備士の資格ですが、将来、整備士の頂点であるエキスパートエンジニアを目指したいです」とこれまた熱き希望を語る。
ちなみに、先輩で検査員の資格を持つクリスナさんは、すでにトヨタ1級に合格、ひと足先にその上のエキスパートエンジニアに手が届きそう。エキスパートエンジニアは日本人整備士ですら超難関。もし、クリスナさんが合格すれば外国人では2人目である。












コメント
コメントの使い方外国人よりも先に日本の技術者を大事にしてください。
短期間での完成の要求、割に合わない給料、遅くまでの残業、これではみんな辞めていきます。おまけに周りは意思の疎通の難しい外国人ばかりでは
それよりも安い労力を結果として求めているのでしょう?そうですよね?
なんでも外国ばかりに頼っていると日本は気が付けば何もできない国になっていきますよ
若者ばかりに注目してますが、早期に中高年を引退させているから不足していると思われるのではないのですか?
技術者達は、一生涯、担い続けてくれれば、人口に合わせて特に不足ではないと思います。
この考え方少し取り入れてください。