長く愛されるだけがいいクルマではない!! 短期間でも自動車の歴史に爪痕を残した「短命車」たち

長く愛されるだけがいいクルマではない!! 短期間でも自動車の歴史に爪痕を残した「短命車」たち

 販売台数や販売期間で記録と名を残すクルマがあれば、短命でも記憶に残るクルマもある。なかには記憶さえ曖昧なほど短命だったクルマもあるが、自動車史にはしっかりと刻まれている。ここではそんな「短命車」たちを振り返ってみる。

※本稿は2025年9月のものです
文:ベストカー編集部/写真:トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱、スズキ、ダイハツ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年10月26日号

【画像ギャラリー】懐かしい顔がズラリ!! 眺めながら思い出してあげてください……記憶に残る愛すべき短命車たち(23枚)画像ギャラリー

メーカーの都合と濃いキャラで短命に

ダイハツ ソニカ(2006年6月~2009年6月:販売期間3年)スペシャルティな軽自動車で、同時期に登場したスズキ セルボと比較されることも多かった。乗り心地は悪かったが、素質はなかなかだった
ダイハツ ソニカ(2006年6月~2009年6月:販売期間3年)スペシャルティな軽自動車で、同時期に登場したスズキ セルボと比較されることも多かった。乗り心地は悪かったが、素質はなかなかだった

 クルマが「短命車」となる理由で多いのはふたつ。ひとつは「本体となるモデルに追加され、後継車の有無は別にして本体がフルモデルチェンジされたため、結果的に短命に……」(R33GT-R4ドアはスカイライン40周年記念車というポジションもあり、やや別物だが)。

 もうひとつは「キャラが濃いなどの理由で、売れずに短命だった」という単純な理由のものだ。

 前者は「メーカーの都合」と言えばそれまでであり、後者も「あまりに短命なのは、特に買ってくれたユーザーに対して失礼」といった印象が残る。

 前者の「メーカーの都合」でわかりやすい例は初代ランサーフィオーレ。極端に言えば「カープラザ店でミラージュセダンを売るから、ギャラン店でも兄弟車のランサーフィオーレを売る」というだけだ。

 後者で惜しかったのがソニカだ。ソニカはスタイリッシュだっただけに、続けていれば今頃はダウンサイザー向けの上質な軽自動車として活躍していたかも!?

消費税導入が災いし6カ月販売のフロンテ

7代目スズキ フロンテ(1988年9月~1989年3月:販売期間6カ月)維持費や価格が安い4ナンバー軽商用となるアルトに対し、5ナンバーの軽乗用に移行したモデル
7代目スズキ フロンテ(1988年9月~1989年3月:販売期間6カ月)維持費や価格が安い4ナンバー軽商用となるアルトに対し、5ナンバーの軽乗用に移行したモデル

 これらふたつの理由以外で、個人的に印象に残る短命車は3台。1台目は7代目フロンテだ。「軽自動車の使われ方に着目して4ナンバーの軽商用とすることで、当時の物品税を大幅に安いものとし、低価格を実現した」初代アルトの5ナンバー乗用車版だ。

 その後の物品税の廃止による消費税の導入で、軽商用のメリットが激減し、アルトの主力も軽乗用に移行。そのためフロンテは不要になり、アルトに統合され7代目フロンテは、短命かつ絶版の運命となった……。

 次に挙げたい2代目ライフは、軽規格が現在の基準導入の1年5カ月前という登場時期に驚く。1年5カ月しか売れないのに、「あえて売る理由」。それが今になると実に興味深い。

 3台目はエクシーガクロスオーバー7だ。このモデルは、乗用車型ミニバンの需要減により、「フルモデルチェンジはできないけど延命する」という目的もあり、エクシーガを流行りのクロスオーバー化したモデルだ。

 しかし、「延命」というわりには最低地上高もそれなりに高めており、クロスオーバー化が抜かりないだけでなく、タンカラーとなったインテリアも上質だった。

 さらに、エクシーガ自体の美点である充分使える3列目や高いコスパ、当時トップクラスのアイサイトはそのまま装備。短命だった以上に「延命手法のうまさ」に感心させられたモデルだった。

もはや殿堂入り!? 販売期間3カ月!

日産 ブルーバードオーズィー(1991年5月~1991年8月)
日産 ブルーバードオーズィー(1991年5月~1991年8月)

 オーストラリア製となる日産 ブルーバードオーズィーは、8代目ブルーバードの5ドアセダン。日本導入の目的は1991年当時、海外製日本車の日本販売が始まったことやRVブームへの対応。

 「販売3カ月」だったのは本体のブルーバードがモデルチェンジしたためで、販売台数が1300台弱だった以上に、この期間のために日本仕様を作ったのは驚くべきことだ。

PR:かんたん5分! 自動車保険を今すぐ見積もり ≫

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

GRスターレットは次期型ヤリス!? 2025年に出たクルマをALL CHECK!『ベストカー1.10号発売!』

GRスターレットは次期型ヤリス!? 2025年に出たクルマをALL CHECK!『ベストカー1.10号発売!』

 12月に入り、いよいよ今年もラストスパート。2025年は新型車ラッシュに加え、JMS2025をはじ…