日産CEOのイヴァン・エスピノーサ氏にベストカーWeb編集長の塩川が対面取材を許された。甘いことは言わずにバシバシ攻めたインタビュー。そこで見えたエスピノーサ氏の「ホンモノ」なクルマ好きの一面とは。 今後の日産はどうやって変えていくの？ そしてシルビア、出してくれませんか？
文：ベストカーWeb編集長 塩川雅人／写真：小林岳夫
人事はどう考えている？
――まず気になるのが社外取締役などを留任させた人事について。日産新体制はどのような人事体制を敷いていくのか？
日産CEO イヴァン・エスピノーサ氏（以下、エスピノーサ氏）：
人事については非常にシンプルに考えています。日産はこれまでの成果主義を引き続き採用していきます。しかしひとりだけの配置を変換したことで、大きくパフォーマンスが変わってしまうこともあります。
ただ、私の方針はとてもシンプルです。とにかくそれぞれ個人のパフォーマンスをモニタリングして、個人の価値が組織の価値と一致しているかどうか、あるいは将来の価値に一致しているかどうかを見極めていきます。
そして各部署同士が綿密に連携が取れない状況をなくし、よりスピーディに、社員の皆さんとともにこれまで築いてきたヴィジョンを追求していく意欲のある組織にする体制を作っていきます。
そしてオープンにお互いが助け合っていく。すべての個人個人が助け合っていくことで会社がより一層変わっていくと思います。
（編集部所感）すでに人事には大きなテコ入れをしているエスピノーサCEOだが、実際にはかつての日産の人事の問題点も客観的に捉えていると感じた。自動車メディアとしては開発陣、そして商品企画、販売においてそれぞれ横串を通した交流がもっと深まっていけばと思う。
日本市場の課題はわかる？
――日産はファミリー向けコンパクトの存在が希薄だ。CEOはこの問題点を捉えているのだろうか？ ライバルがシエンタやフリードなどで収益を確保するなか、日産の新たな一手はどこに？
エスピノーサ氏：
たしかに我々にとって、スライドドアのあるコンパクトカーは必要だと思います。そしてどうにかならないものかと検討をずっとしてきました。非常に競争の激しいカテゴリーですからね。だからこそ今は少し賢いやり方はないかと模索しています。
なにが魅力のあるクルマの方程式になるのか。もっと具体的に言えば、コンパクトカーとセレナクラスの間をどう橋渡するのか、もちろん考えてきました。
しかし会社として、なかなか上手くいかなかったのも事実です。一方で、我々はそのようなカテゴリーを求めるお客さまにどう迫るか、新しい試みを模索しています。だからといって、簡単に（シエンタやフリードに）似たような車種を出せばいいというものではないですし、私としてもそれはしたくないのです。
将来のセグメントを想定して、次の波に乗っていきたい。そういう考え方で我々は新たな検討を続けています。
【画像ギャラリー】エスピノーサCEOは本物のクルマ好き!? パトロールがお好きでシルビアに思い入れアリ！ ファンもCEOも望んでいるんだから夢の「S16」出すしかないでしょ！（14枚）画像ギャラリー日産らしさの追求と商売
――日産らしいクルマと収益を確保するクルマの作り分け。日産の永遠のテーマとも言えるが、CEOは現実的な答えだった。
エスピノーサ氏：
もうこれについては最終的にはバランスだと思います。我々の課題は、これまで同じ慣習で、同じプロセスに従ってきたことだと思います。日産にはいろいろな種類のラインナップがあります。全部の商品を同じような扱いではダメだし、本来はそれぞれ期待値が変わるはずなのです。
例えばフェアレディ Z、パトロール、はたまたGT-Rのような日産のブランドを定義するクルマがあります。これは会社の財務に必ずしも貢献する必要はないのです。
しかしビジネス志向の車種はそうはいきません。これらの車種はもっと違う考え方をしないといけないのです。事業の土台になる部分ですからね。台数に寄与して、生産稼働率を上げないといけない。もちろんサプライヤーさんにも貢献しないといけない。
最後に戦術的車種です。これこそがパートナーの力を活かして作っていく、特定地域でのラインナップを補う車種のことです。それぞれ目標も異なりますので、それぞれ違うアプローチでやっていきます。
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