フォルクスワーゲン「ID. Buzz」が2025–2026日本カー・オブ・ザ・イヤーで「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」と「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。電動ミニバンとして国内唯一の存在であるID. Buzzは、なぜここまで支持されたのか。デザイン、走り、室内空間――すべての魅力を深掘りする。
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
電動ミニバンの新基準――ID. Buzzが国内評価を席巻した理由
フォルクスワーゲン ジャパンが2024年6月から販売しているフル電動ミニバン「ID. Buzz」が、2025–2026日本カー・オブ・ザ・イヤーで二冠(インポート・カー・オブ・ザ・イヤー/デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー)を獲得した。EVが本格普及期へ向かうなかで、ミニバンという“家族の移動の中心”に切り込んだ点は大きく、評価の高さにも納得だ。
まず注目すべきは、国内市場では希少な“多人数乗車が快適に移動できるBEVミニバン”という点。電動化が進むなか、SUVやコンパクトに集中しがちなラインナップとは異なるポジションを選んだことで、ユーザーニーズの“隙間”をしっかり埋めている。
搭載されるモーターは最高出力210kW(286ps)、最大トルク560Nm。後輪駆動レイアウトも相まって、大柄なミニバンとは思えない軽快さを実現している。MEBプラットフォームによりバッテリーをフロアに搭載、Cd0.285という優れた空力性能が静粛性と安定感に貢献している点も特徴だ。
ワーゲンバスのDNAが息づく“ひと目で分かるデザイン”
デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーの受賞理由は非常に明快だ。ID. Buzzは、長年“ワーゲンバス”として親しまれたType 2のヘリテージを徹底的に現代解釈したモデルであり、特大VWロゴ、ショートオーバーハング、V字フロントパネル、ツートンカラーなど、懐かしさと新しさを絶妙なバランスで両立している。
クルマがテクノロジー過多で無機質になりがちな時代に“エモーショナルな価値”を強調した点が高く評価され、「街で見かけるとつい目で追ってしまう」存在感は唯一無二である。実際、街中での注目度は抜群で、オーナーからは“運転するだけでテンションが上がる”という声も多いという。
快適性と使い勝手が共存した、家族仕様の理想形
室内空間もID. Buzzの大きな魅力だ。国内で選べるのは6人乗りのノーマルホイールベース(NWB)と、ホイールベースを約250mm伸ばした7人乗りロングホイールベース(LWB)。特にLWBは最大2469Lもの荷室を確保し、3列目シートの脱着により多彩なアレンジが可能で、アウトドア志向のファミリーにも最適だ。
電動車ならではのフラットな床、広々とした視界、ラウンジのような雰囲気は、長距離ドライブでの疲労軽減にも直結する。従来のミニバンでは味わえなかった“移動時間そのものが楽しくなる体験”は、新しいモビリティの価値を体現している。
EVミニバンの未来を開いた一台
今回の二冠は、単なる話題性ではなく、日本市場における“次のライフスタイル”を見据えた提案が評価された結果だろう。特にミニバン文化が根強い日本において、EV×ミニバンという新カテゴリーはユーザーの新たな選択肢になるはずだ。ID. Buzzが示したのは、「EVでも家族の移動は妥協しなくていい」という未来である。

コメント
コメントの使い方