【生産、新車、販売に大打撃!】 新型コロナウイルス 自動車メーカーへの影響は?

【生産、新車、販売に大打撃!】 新型コロナウイルス 自動車メーカーへの影響は?

 2020年4月7日、新型コロナウイルス感染拡大に関する「緊急事態宣言」が安倍晋三首相から発令された。

 すでに自動車業界では、国内および海外の生産工場において、自動車生産の調整または縮小の動きが出ており、コロナウイルスへの影響も出始めている。

 また販売の現場となるディーラーでもモビリティ東京(4/9~4/27、11時~16時。4/28~5/6GW休業)をはじめ、東京日産、ホンダカーズ東京などで時短営業の動きが広がっている。

 そこで、緊急事態宣言が発令された4月7日現在、自動車業界の影響はどうなのか? 今後、自動車業界はどうなっていくのか? 未曾有の危機を脱するのはいつなのか? 元日刊自動車新聞社主筆、現佃モビリティ総研代表、佃義夫氏が解説する。

文/佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫
写真/ベストカー編集部 トヨタ スバル マツダ 

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自動車業界にリーマン以上のショックとなりそうなコロナ禍

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受けて豊田章男日本自動車工業会会長が4月7日、会見を行った

 安倍晋三首相は、2020年4月7日の閣議決定によりコロナウイルス感染拡大に対する「緊急事態宣言」を発令した。

 これにより7都府県で4月8日午前0時から5月6日までの1ヵ月間、緊急事態宣言が効力を持つことになる。

 中国・武漢で発生したこの新型コロナウイルスによる肺炎の感染は、今や世界に拡大し、人々の生活や実体経済に大きな打撃を与えている。

 日本の緊急事態宣言も遅きに失したとの声もあるが、安倍首相は「人と人との接触を極力減らし、医療提供体制を整えるためだ」とし、「可能な限りの外出自粛に協力をいただく」と呼びかけた。

 ただ、海外では罰金や罰則などを科す外出禁止令などを出しているケースもあるが、日本の対応は「ロックダウン(都市封鎖)することはないし、する必要もないというのが専門家の意見だ」(安倍首相)とする。

 また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受けて豊田章男日本自動車工業会会長が4月7日、会見を行った。

 「今はまだ出口が見えない状況ですが、人類が新型コロナウイルスの脅威に打ち克(か)つ日は必ずやってきます。その時に日本の基幹産業である自動車業界が復興のけん引役を担っていきたい、そして日本のものづくり、雇用を守り抜いていきたい。その想いで、各社必死の努力を続けてまいります(一部抜粋)」と発言している。

 また、日産自動車も政府の緊急事態宣言発令を受けて、以下のリリースを発表している(一部抜粋)。

 「当社は4月7日に日本政府が発表した宣言にあわせ、可及的速やかに以下の取り組みを行います。
・事業継続のために出社がやむを得ない業務を特定し、出社する従業員を最小限に絞り込みます。それ以外の業務に従事する従業員は、在宅勤務とします。出社がやむを得ない従業員は、公共交通機関の利用を可能な限り避け、会社が設定した予防ガイドラインに従い、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を維持して業務を遂行します。
・生産に関しては、これまで通り従業員の安全健康管理を徹底し、市場動向を踏まえ、工場毎に操業を継続していきます。
・日産の販売会社は、お客さまの安全を守り、安心を提供し続けるため、活動規模を一部縮小するものの、店舗でのサービスや車両・部品物流業務、問い合わせ窓口などの各種お客さま対応業務は継続します」。

 この新型コロナウイルスの世界拡大で、自動車の生産・販売にも大きな影響が及んできている。世界各国経済をけん引する自動車産業・業界にとってかつてのリーマンショックを上回る激震にもなりそうだ。

 世界的な生産・販売減は自動車メーカー、部品メーカー、ディーラーの業績悪化は赤字転落という事態も避けられない見通しとなっている。そうなると、自動車は基幹産業であるだけに景気への悪影響を及ぼす危機感が強まっている。

 すでに自動車メーカー各社の工場生産停止は、当初の中国工場から欧米に移り日本国内工場にも波及してきた。

 3月末時点で、中国工場が生産再開する一方で米欧工場の半数が停止となり、4月に入り日本でも各社が相次いで生産休止に追い込まれた(本企画後半参照)。

 自動車産業は、日本国内総生産の3.3%(18.1兆円)を占め製造業最大であり、雇用面でも全就業人口の8.2%(約546万人)を雇用し、貿易でも輸出総額の20.5%(16.7兆円)を占めるように存在感は大きい。

 2008年秋の米リーマンショックは、世界実体経済の悪化に波及し世界の自動車メーカーが需要の大幅減退に苦しんだ。当時の世界ビッグ3であった米GM・フォード、クライスラーが経営を悪化させてGMとクライスラーは米政府救済により経営破綻を免れた事実がある。

 このリーマンショックでは、日本自動車メーカーも軒並み赤字転落となり、トヨタも戦後初の赤字に転落してここから立ち直るのに苦慮した苦い経験があるのだ。

 「新型コロナで生産・販売に大きな影響が及び、顧客への納車が遅れている。販売状況は中国や日本で大幅減となっており、生産もそれに准じて需給調整が始まった段階だ。リーマンショックと比べると今回は回復へのけん引役が不在だ。リーマン以上に先が読めない」と豊田章男トヨタ自動車社長は、日本自動車工業会会長も務めており、先の自工会会長会見で新型コロナ禍のクルマ界に与えている状況の危機感を強調した。

 自動車国内生産は、過去20年間1000万台前後を維持してきた。2005年に900万台を超えたものの、2008年秋のリーマンショック後の2009年には約793万台にまで落ち込んだ。それ以降は900万台強を推移してきたが、2019年は832万台だった。

 自動車各社は、国内雇用を維持するために国内生産を確保してきた。トヨタは「国内生産300万台維持」を表明し、日産とホンダも「国内生産100万台維持」だったが、日産の2019年の国内生産台数は80万台弱に留まり、ホンダも主力の狭山工場閉鎖を発表するなど100万台維持が難しい状況となっている。

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