日本のファミリーカーのスタンダードのひとつといえるコンパクトミニバン。その勢力図を二分するのがトヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」です。
シエンタの現行モデルは2022年8月に登場。翌2023年には11万台超を販売し、2025年も10.6万台を記録するなど、登場から4年目となる現在も高い人気を維持しています。
一方のフリードも、2024年6月にフルモデルチェンジを受け、翌2025年には9万台を販売するなど、シエンタを猛追しています。「日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025」を受賞するなど、専門家とユーザーの双方から高い評価を得ています。
販売台数ではシエンタが一歩リードする状況ですが、その差は縮まっているようにも思えます。なぜフリードはこれほどまでに選ばれ続けているのでしょうか。宿命のライバルと比較することで見えてくる、フリードならではの「強み」を改めて整理してみましょう。
文:吉川賢一/写真:HONDA
【画像ギャラリー】すべてのひとに「ちょうどいい」 大人気コンパクトミニバンのホンダ「フリード」(27枚)画像ギャラリー「ちょうどいい」はなぜ成立する? フリードを支えるパッケージング思想
ホンダ「フリード」は、2008年に初代モデルが登場したコンパクトミニバンです。歴代モデルを通じて「ちょうどいい(Just Right)」という価値観を掲げ、5ナンバー枠に収まる扱いやすいボディサイズを維持しながら、車内には想像以上に広い空間を確保してきました。
このパッケージングを支えているのが、「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」というホンダ伝統の設計思想「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)」です。限られたサイズのなかで大人がゆったり座れる居住性は、この思想がもたらした成果。2024年6月に登場した現行型(3代目)もこの「ちょうどよさ」を継承しながら、質感や快適性が一段と高められており、とくに2代目と比べて、日常の移動そのものの満足度を引き上げている点が大きな進化といえます。
その完成度の高さは自動車ジャーナリストからも高く評価され、「日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025」を受賞。販売面でも、2025年は90,437台を記録し、2017年(2代目フリード登場翌年)の104,405台に次ぐ、歴代2番目の販売台数となっています。
シエンタとの大きな差は「2列目と3列目」
そんなフリードですが、シエンタとのもっとも分かりやすい違いは、「2列目」と「3列目」です。
シエンタは日常的には2列使用が前提で、3列目シートは「必要なときだけ使う補助席」という位置付けです。3列目シートを2列目下に収納するダイブイン機構を採用するなど、荷室の使い勝手を優先した設計となっているため、3列目シートの座り心地や足元の広さはいいとはいえません。
一方、フリードの3列目シートは、クッションの厚みがしっかりと確保されており、座り心地が快適。3列目シートの収納方式は左右に跳ね上げるタイプのため、2列目下に収めるシエンタのダイブイン機構と比べると荷室効率では一歩譲りますが、そのぶん多人数乗車への対応力は非常に高いといえます。
フリードはまた、2列目シートも贅沢です。6人乗り仕様では、2列目に左右独立のキャプテンシートが採用されており、このクラスとしては異例ともいえる座り心地。格上のステップワゴンに迫るゆとりを備えています。大人がゆったりと座ることができ、ロングドライブでも疲れにくいでしょう。1列目から3列目までウォークスルーが可能な点も、実用面での大きなメリットです。































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