夜行に重視した運行形態が特徴だった国際興業の東北道高速バスを振り返る

夜行に重視した運行形態が特徴だった国際興業の東北道高速バスを振り返る

 国際興業バスの長距離便は1988年7月の盛岡便から始まる。その後も東京から東北の主とした系列会社を相手に路線網が広がり、昼行便は空港やレジャー施設のアクセスで、都市間輸送はもっぱら夜行に力を入れ、北東北直通便の路線網を作り上げた。

●遠野釜石号
○運行会社:国際興業バス(岩手県交通)
○乗車・撮影:2009年7月

(記事の内容は、2025年12月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2025年12月発売《バスマガジンvol.131》『思い出の長距離バス』より

■池袋駅で到着を待って

国際興業夜行バスのジェイ・バス スーパーハイデッカー
国際興業夜行バスのジェイ・バス スーパーハイデッカー

 東京発の路線網が形成されると次は埼玉発。奈良、大阪など関西の集客力ある路線をしばらく運行したが今は廃止している。

 この遠野釜石号は今世紀に入ってからの開業で、新規会社が路線を広げる中、既存会社の夜行は縮小気味で、新路線ができたことに期待を持って乗車してみた。

 起点は同社拠点の池袋。やって来たのは新車のようで、斬新なジェイバスのしかもスーパーハイデッカーだ。競合が増えて車両にも力入れるようになったようで、今後の生き残り戦略にも利用者サイドからの評判も、有意義な車両チョイスといえた。

 そして旅の始まりとなった。この後の車両代替も同じ仕様の車両で登場して、現在の国際興業夜行バスの姿となっている。

 予約客がそろい発車、車内案内は一般路線バスと同じチャイムで車内放送。各種装備の使用説明は各社同一のものが多い上、乗客の認知度もあり路線ごとの案内が重視されている。

 次なる乗車地は秋葉原、そして上野と乗車場所も増えた。隅田川を渡りやっと高速入りして23時23分に消灯した。夏の夜空は美しい、夏の大三角形は確認できなかったが、明日も良い天気になりそうだ。

 東京における7月の快晴は暑くてもうウンザリだが、東北の快晴はきっと涼しく、楽しい夏を約束してくれるだろう。

■夜明けは岩手県内陸で迎える

早朝の遠野駅。今日も楽しくにぎやかな一日が始まる
早朝の遠野駅。今日も楽しくにぎやかな一日が始まる

 目が覚めると前沢サービスエリア、そして降車が始まる。新幹線新花巻駅、東和、そして遠野駅、若者が降車する姿を見ると早朝から観光を楽しむのか、と勝手に想像。

 遠野は岩手県交通創業の1976年時点で、少し離れた営業所にバスセンターがある静かな地方都市であったが、駅前はリニューアルされ昼になれば多くの行楽客でひしめくだろう。

 進路は内陸から陸中海岸沿いに仙人道路を走るが、眼下に見える町、川、緑に囲まれた目覚めの車窓は素晴らしい。釜石市内に入り、釜石営業所、釜石駅、終点大槌駅に到着した。狭い駅前広場で切り返して回送となり、その去り行く後ろ姿が小さくなり、見えなくなるまでいつまでも見続けた。

 2年後ここを東日本大震災が襲い、駅舎もなくなってしまったことなど、この時に想像がつくわけがなかった。今では駅は近代的に建て替えられ、町も活気がよみがえったが、その後コロナウィルスによって運休となり、2024年3月をもって路線廃止となった。

 利用率の高い釜石、そして大槌は同じ国際興業と主に岩手県交通の「けせんライナー」によって運行されているので、引き続き地元民に貢献している。

【画像ギャラリー】関東から北東北を結んでいた長距離夜行バス……東京・池袋から岩手・大槌を結んでいた遠野釜石号(11枚)画像ギャラリー

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