クルマに限らず、売れ行き=人気は、その商品が持つ力を示すひとつのバロメーターだ。
……が、売れ行きはパッとしなけれど、地味だけれど、人気以上の実力を持つクルマも決して少なくない!
本稿では、そんな「もっと売れていい」いや「もっと売れるべき!」といえる、普段日の目を見づらい、実力車たちを紹介したい。
文:渡辺陽一郎、片岡英明
写真:HONDA、編集部、MAZDA、SUBARU、TOYOTA
ベストカー 2020年5月10日号
【画像ギャラリー】“売れてない順”で見る、もっと売れるべきクルマ 10選
地味だけど実力派なホンダ車
・新型アコード「走りがよくて、本格シートで装備も豪華」
【売れていい理由/渡辺陽一郎】アコードは今年2月に現行型にフルモデルチェンジした。それまではモデル末期で、2019年の月販平均は90台と少ない。
今はLサイズセダンの販売が不振だが、アコードは後席も広く、モーター駆動が中心のハイブリッドだから加速は静かで滑らかだ。
モーターは瞬発力が高く走りに余裕がある。現行型の価格は本革シートまで装着して465万円だから、もう少し売れていい。
・オデッセイ「室内は充分に広く、走りの安定性に優れる」
【売れていい理由/渡辺陽一郎】全高が1700mm以下だから、外観が貧弱に見えて人気は低調だ。2019年の販売はアルファードの21%だった。
しかし、低床設計で室内高に余裕があり、3列目シートはアルファードと違って膝の持ち上がる姿勢にならない。安定性もよくアルファードよりも優秀だ。
・グレイス「フィットゆずりの広さが魅力」
【売れていい理由/渡辺陽一郎】貴重な5ナンバーセダンで、空間効率の優れたフィットのプラットフォームを使って開発された。後席の足元空間はカローラやマツダ3よりも広い。
5ナンバー車のわりに乗り心地も快適で、運転支援機能も備わる。1カ月平均530台は少なすぎる。
・ステップワゴン「走りのよさはクラス最高レベル」
【売れていい理由/片岡英明】走りの実力はミドルクラスのミニバンで最高ランクと断言できる。キャビンは広く、荷室の使い勝手、先進安全装備もライバルに負けていない。
実力派だが、まとまりのないデザインと質感の低い内装、視界の悪いわくわくゲートが足を引っ張っている。
マツダ、スバル、三菱の「もっと売れていいクルマ」は?
・エクリプスクロス「実はトータル性能の高いSUV」
【売れていい理由/片岡英明】エクリプスクロスは登場から丸2年なのに新車販売ランキングのトップ50に入っていない。販売不振の理由は、個性が強すぎるデザインや三菱のブランド力の低さにあるのだろう。
が、走りの実力は高く、三菱自慢の車両運動統合システム、S-AWDは安全で楽しい走りを約束する。
スポーティな味わいに加え、ファミリーカーとしてのトータル性能も高いなど、魅力的なSUVなのだ。
・マツダ2「改良によって走りも安全性能もアップ」
【売れていい理由/片岡英明】車名を変えたが、基本設計は6年前のままだし、デザインもほとんど変わらない。後席と荷室も狭いから売れゆきは今一歩だ。
が、パワーユニットやサスペンションにメスを入れ、シートも新調した。先進安全装備も充実しているので買い得感は高いと思う。
・フォレスター「4WD性能が高く、安全装備も充実」
【売れていい理由/片岡英明】登場から2年未満なのに販売が低迷しているのは、ハイブリッド車の燃費がイマイチなこととデザインに面白みがないため。
が、4WDの実力は高く、洗練された走りを見せる。走りのよさに加え、先進の運転支援システムと快適装備の充実も高評価だ。
コメント
コメントの使い方