せっかく暫定税率が廃止されたのに、ホルムズ海峡が閉鎖された影響で高値が続くガソリン価格。アメリカとイランは戦闘終結の最終合意に向けて進んでいるが、混沌とした状況はまだ続きそうだ。いったいこの高騰状態はいつまで続くのか? 日本政府は米国とイランの合意とともに、まさかガソリン補助金をやめてしまうのか?
文:鈴木喜生/写真:写真AC、Adobe Stock
【画像ギャラリー】ガソリン補助金がなくなる日は近い!?(6枚)画像ギャラリーそもそも、なぜガソリン価格は下がらないのか?
2026年2月に中東情勢が急速に悪化し、イランを巡る軍事的緊張が高まったことで、世界の原油価格が高騰した。
国内においてはガソリン価格が1リッター当たり190円を超えるなどしたため、日本政府は「ガソリン補助金」(燃料油価格激変緩和補助金)の施行を決定、3月19日の出荷分から即座に適用した。それ以降、目標価格「1リッター当たり170円」の超過分に対し、政府は補助金を投入し続けている。その結果、国内ガソリン価格は現在、全国平均で1リッター当たり170円前後から180円程度の水準にある。
この補助金が小売りや消費者ではなく、出光興産、ENEOS、コスモ石油などの石油元売り会社に配布されているのは、価格への反映を迅速化するためだ。そのため目標価格は170円であるものの、市場価格では一定幅で上振れしている。
経産省のデータを見ると、もしこの補助金がなかった場合、同価格は200~215円まで高騰していたことがわかる。つまり、そのギャップがすべて国費で埋められているわけだ。こうした抑制策によって日本経済は、極端なダメージを回避したといえるだろう。
ただし、2025年末に高市政権が「暫定税率」を半世紀ぶりに廃止した直後には、それまで170円台で推移していたガソリン価格が155円前後(全国平均値)まで下がっていた。
つまり、同税の廃止で下がったガソリン価格が、国際紛争によってわずか3カ月足らずで元値に戻ってしまったことになる。その結果、ドライバーの負担は暫定税率の施行時と変わらず、国にとっては減税と補助金のダブルパンチを食らっている状態だ。
アメリカ・イスラエルとイランの動向
この状況を大きく変えそうなのが、アメリカとイランによる停戦合意(覚書署名)だ。
トランプ米大統領は、「イランとの合意は間近」と3月下旬に発言してから、「もうすぐ終わる」「イランはすべてに同意した」など、同様な発言を40回近く繰り返し、進展が見られない状態が続いていた。
しかし6月14日、トランプ米大統領は「イランとの合意が成立した。ホルムズ海峡は開放される」とSNSに突如発表。17日にはG7サミット(フランス開催)の会期中、米国とイランの暫定合意である「イスラマバード覚書」に署名。イランのペゼシュキアン大統領もこれに署名したことで、両国の戦闘終結が宣言された。
これによって6月中旬以降、原油先物の指標はピークを脱し、さらに下落傾向にある。
しかし、合意の実務協議に入る直前、イスラエルによるレバノンへのミサイル攻撃が続いていることから、ホルムズ海峡を「再び封鎖した」ことを、イランの革命防衛隊(軍中央司令部の精鋭部隊)が発表するなど、混乱は続いている。
たとえ両政府が合意しても、ホルムズ海峡には機雷が残っているといわれている。数は明らかにされていないが、たとえ数発であろうと商業タンカーの航行を止めるには十分だ。イランが掃海したと言ったとしても客観的に確認されるまでは航行が大幅に制限されるだろう。その結果、両国の合意が即座に原油価格に反映されることはないと思われる。
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