Web読者にも大好評の「名車リバイバル試乗記」、第3回めはマツダ・RX-7(FD3S型)が登場します。
1991年12月にデビューし、今も多くの根強いファンを抱えるRX-7最終型を、徳大寺有恒氏は登場時にどう評価したのか?
「ロータリーは必ずしも好きではない」と語る徳大寺氏が、それでも認めざるをえなかった力が、このクルマにはあるようです。
※本稿は1991年12月に執筆されたものです
文:徳大寺有恒
ベストカー2015年1月26日号「追悼特集 徳大寺有恒スペシャル」より
「徳大寺有恒リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です
■RX-7の最も重要な部分
〝スポーツカーというものは軽いクルマと同義語〟。これは多くの人がいう言葉だ。かのエンツォ・フェラーリもそのひとりである。
メルツェデス・ベンツは第二次大戦後、その威信をかけて、スーパースポーツカー〝SL〟を作ったが、その名はずばり〝スーパーライト〟超軽量であった。
最近ではホンダがNSXを作るにあたり、アルミニウムを多用したのも、この超軽量を実現させるためだ。
軽量化はパワーウェイトレシオを有利にし、動力性能を上げる。
しかし、軽量化のメリットはそれだけではない。同じパワーウェイトレシオが5kg/psであったとしても、1000kgのボディに200psのエンジンを搭載しての5kg/psと1500kgに300psの5kg/psでは、まるで違ったスポーツカーになる。
いわゆる慣性重量の軽さは、そのクルマのすべてのダイナミックな性能に有利に働くのである。
そして新しいRX-7の最も重要なる部分はそこにある。軽量化を前提にシャシーを考え、サスペンションを考え、ボディを考えている。RX-7を本格派スポーツカーと私が呼ぶのはこの考え方による。
中心車種のタイプRのパワーウェイトレシオ4.94kg/psはエアコンをはじめ実用上のアクセサリーをすべて付けての状態であり、それはスーパーライトとよぶにふさわしい。
また同時にRX-7は重心を下げることに腐心している。これも安定した動きをクルマに与えるためである。
従来の日本のスポーツカーはスペックに頼る傾向にあった。やれパワーがどうだとか、サスペンションがどうだとか、Cd値がいくつであるという風に数字や形式にこだわっていた。
RX-7は少し違うアプローチである。軽く、重心を低く、重量物をなるべく中心に、という目的でクルマが出来上がった。
重要なことは数字ではなく、軽快なドライブフィールのためという結果である。
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