RX-7にとって、重要なのは「数字」ではない【徳大寺有恒の名車リバイバル③】

■RX-7のドライブフィール

 RX-7はまったく独自のパワーユニット、ロータリーを生かすためのスポーツカーコンセプトが、このクルマを本格的に仕立てあげている。

 しかし、いつもいうように、私はロータリーエンジンを必ずしも好んではいない。たしかにスムーズでパワフルである。大排気量エンジンのように大トルクを感じさせるが、小気味のいいシャープな切れ味には欠けるのだ。

 私はことによると一発一発がハジけるレシプロエンジンに慣らされているのだろうと思う。

 新しいシーケンシャルターボを持つこのパワーユニットは、超低速以外、恐ろしくパワフルであり、ほぼトップエンドまでムラなくフケ上がるからドライバーが得るものとしては、文句のあるものじゃないのだが。

 RX-7をドライブして感じることは、そのハンドリングがどうの、こうの、ブレーキがどうの、こうのといった部分的なものじゃない。

 このクルマの持つ、スポーツカーフィールが走りを支配していることなのだ。

 ドライバーズシートの感覚、その低く、やや狭く囲まれたドライバーズシートは、スポーツカーのそれだ。

 この点、どこからどこまでスポーツカーでありながら、ドライバーにスポーツカーを意識させないNSXとは対照的だ。

 言い換えれば、RX-7のスポーツカー演出は、ボディ内外のデザインによるものじゃなく、その基本たるコンストラクション(構造)によるものであるところがこのクルマの生命だろう。

 だから、RX-7から感じられる最大のものはエンスージャスティックであることだ。率直に言って私はこういうエンスージャスティックなスポーツカーが日本で生まれるとは思っていなかった。

 スポーツカー好き(編集註・RX-7の開発責任者は、現在自動車ジャーナリストである小早川隆治氏)が、理想を追ってスポーツカーを作る。

 その結果が、このRX-7なのだとしたら、日本のクルマ作りもそう捨てたものじゃない。

RX-7
RX-7

【MAZDAアンフィニRX-7(FD3S)】 1991年12月誕生

 1991年に「RX-7」としては3代目として誕生。

 シーケンシャルツインターボと組み合わされた13B型ロータリーエンジンは1999年のマイチェンで280ps/32.0kgmまで高められ、スムーズで鋭い加速とシャープなハンドリング性能、何より美しいスタイルは、今もってなお「国産車史上最高のスポーツカー」と評す人もいるほど。

 おりからの排ガス規制強化とスポーツカー販売不振の影響を受け、2002年8月に生産終了するまでの総生産台数は約5万3000台。まさにニッポン自動車界の至宝といえる

RX-7走行中
RX-7走行中

◎RX-7タイプR(5MT)テスト結果
0~400m加速 13.19秒
0~1000m加速 24.59秒
最高速度 256.20㎞/h
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