「いつかはクラウン」。高級セダンの代名詞が今年で65周年!
1955年に誕生したトヨタ クラウンが、2020年で65周年の節目を迎えた。4月27日には65周年を記念する特別仕様車も発売。セダン不毛の時代に、堅調に売れている国産セダンは、クラウンのほかに存在しない。
それゆえ、クラウン=オーソドックス・保守的というイメージもあるが、実は時にオーナーを驚かせるほどアグレッシブなモデルチェンジを行い、販売的には失敗作になるほど“攻めた”モデルも少なくない。
本稿では65年、通算15代にわたるクラウンのなかで、特に「異端」といえる4モデルを紹介。この4台は、ある意味で攻めの姿勢を貫いたクラウンの本質を示すモデルともいえるかもしれない。
文:片岡英明
写真:TOYOTA、編集部
【画像ギャラリー】失敗作だって偉大な遺産!? トヨタ クラウン 65周年全15代の歴史
4代目クラウン/1971-1974年
日本人のために開発され、送り出されたプレミアムセダンがクラウンだ。その3代目は「白いクラウン」のニックネームで愛され、新しいユーザー層の開拓に成功した。
大ヒットした後を受け、1971年2月に登場したのが4代目クラウン(MS60/70系)である。衝撃を与えたのは「スピンドルシェイプ」と名付けられた前衛的なボディデザインだ。
ボンネットとフロントグリルの間にウインカーランプを内蔵し、ボディと一体になったバンパーはカラー塗装されていた。2ドアハードトップはドア後方を跳ね上げたアイラインウインドウが話題となっている。
エンジンは2LのM型直列6気筒が主役だ。SUツインキャブ装着のスポーティグレード、「SL」は時代に先駆けて電子制御3速ATのEATを搭載し、注目を集めた。
後期モデルではキャブに代えて電子制御燃料噴射装置のEFIも投入している。デザインもメカニズムも攻めに攻めていたのだ。スピンドルシェイプのボディは安全性が高く、高速走行時の安定性も高かった。
が、クラウンは公用車として使われた。タクシーも多いから、保守派の人たちは4代目を嫌っている。当然、販売台数は激減した。そこで1973年2月に大がかりなフェイスリフトを断行したのである。これに懲りたのか、5代目は平凡なデザインだ。
9代目クラウン/1991-1995年
8代目クラウン(GS/MS130系)は、ハイテク装備を積極的に採用し、ゴージャスさも分かりやすかった。月販目標は1万4000台と強気だったが、後半まで安定して売れ続けた。
9代目クラウン(JZ140系)は、平成になった1991年10月にベールを脱いでいる。このときに上級モデルとして「マジェスタ」を誕生させ、クラウン初のモノコックボディと4輪ダブルウイッシュボーンのエアサスペンションを採用した。
人気の高いクラウン4ドアハードトップはペリメーターフレームのままだが、3ナンバーのワイドボディとしている。
新世代の直列6気筒エンジンに電子制御5速ATを採用し、マジェスタには4WDモデルも設定した。9代目はバブル景気が後押しした力作だったのである。
だが、開発陣の予想に反して主役のロイヤルサルーンは、エクステリアの評判が悪かった。特にクラウンを乗り継いでいるお得意さんは文句たらたらで、買い替えを渋ったのである。
その理由は、8代目と比べて迫力のないデザインだったからだ。ちょっと丸みを持たせ、ふくよかなシルエットとしたが、直線基調の押しの強いクラウンに慣れているファンは顔をしかめている。
水戸黄門の印籠のように、フロントマスクも威厳を感じさせないとダメなのだ。そこで後期モデルではプレスラインを変え、顔つきもメッキを多用した豪華なものになる。
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