とうとう6月17日から発売開始となった、新型ハリアー。高級クロスオーバーSUVの元祖であり、ブームの火付け役といえるハリアーは、これまで、3世代に渡ってユーザーから支持されてきた。そして今回の4代目もまた、予約が殺到しているという。
なハリアーはなぜ、これほどまでに、幅広く人気を獲得できたのだろうか。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA
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ハリアーとは日本人エンジニアによる「究極のドメスティックSUV」だ
初代ハリアーから続く流麗なエクステリアデザイン、ラグジュアリーなインテリア、心地よい走りなど、クルマとしての魅力が非常に高いのは、誰もが認めるところであろう。
国産SUVがオフロードをメインイメージとする中で、頑なに都会派クロスオーバーSUVを主張してきただけあり、オンロードで走る姿が最も似合うSUVだ。しかも2.0Lのガソリン2WDは300万4100円からと、装備内容を加味すると比較的安く、手を出しやすい。
しかし、ハリアーの魅力は、それだけではない。ハリアーは、日本人のエンジニアが、日本人や日本の土地柄に合わせて開発し、日本で作られている、という究極のドメスティックカーだ。そうしたミドルサイズ以上のクルマは、数少なくなっており、SUVに限れば、ハリアーだけだ。
ハリアーは、3代目へとモデルチェンジした際に、海外市場からの需要で大型化が望まれていたRXと決別し、国内向けにサイズが縮小された。これが、ハリアーが国内市場で生き残れた理由のひとつだと筆者は考えている。
4代目となる新型ハリアーは、全幅が20mm広がり、RAV4と同じ1855ミリにまで拡幅されたが、RXが1895mmまで拡幅していることを考慮すると、全長4700mmを超えるミドルサイズSUVで、よくこの車幅で抑え込めたものだと感じる。
4代目の開発キーワードは「SUVというカテゴリーを超えた存在」
トヨタエンジニアの方にとっても、4代目ハリアーはチャレンジだったそうだ。開発チームが目指したのは「SUVというカテゴリーを超えた、抗いたがい魅力に満ちた存在」。孤高の存在でありつづけるために、「ハリアーとは何か?」を突き詰めていったという。
エクステリアデザインでは、「いかにもSUVといった筋骨隆々とした姿ではなく、知性や品格を感じさせる形を模索した。メッキパーツなどの装飾や、深いキャラクターラインに頼らず、研ぎ澄まされたものを表現するのに苦労した末、立体の断面を変化させていき、鋭利に折れ曲がる、「断面変化」というデザインワードに行きついた」そうだ。
インテリアに関しても、新型ハリアーを待つお客様からの高い期待を超えるために、デザインチームが導き出したのは、「おおらかな逞(たくま)しさ」というテーマだった。先代ハリアーの縦基調のセンタークラスターをベースに明確な縦ラインを与え、頼りがいのある逞しい骨格となっている。「鞍(くら)」をモチーフとしたセンターコンソールも、上品さと逞しさを醸し出すことに成功している。
「走り」において、トヨタのトップガンがこだわったのは、「路面の起伏や横風などによる外乱が入っても常にまっすぐ、どっしり走れること」だ。データには表れないフィーリングを社内で擦り合わせるため、あえて「直結感」のような、感覚的な言葉を使って共有していったそうだ。ロール量や横Gのような、データで語りたくなる開発エンジニアにとっては、ストレスだったに違いない。
その結果、RAV4にも使った最新のGA-Kプラットフォームなどの「いい素材」のポテンシャルを、100%引き出すことができた、という。
歴代ハリアー開発でも、こうした苦悩は繰り返されてきたのであろう。ハリアーがハリアーであり続けることを突き詰めつづけ、開発エンジニアたちが苦悩し、その努力がうまく実っていることが、ハリアーが幅広く人気を獲得してきた理由ではないか、と筆者は考える。
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