スカニアはエネルギー消費を2%削減するという「スカニア・ダイナミック」を発表した。内燃機関と電気自動車の両方で利用でき、ドライバーの快適性と安全性も向上する。
新しいフロントデザインやデジタル式ミラーなど新型キャブにもみえるが、既存のSおよびRキャブに設定される包括的なアップデートだという。同社の継続的な改善を反映したスカニア・ダイナミックとは?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Scania CV AB
スカニアがIAAで発表した「スカニア・ダイナミック」とは?
スカニアはドイツで開催された世界最大規模の商用車見本市「IAAトランスポーテーション2026」において、新しいキャブデザインの「スカニア・ダイナミック」を発表した。RおよびSシリーズキャブに設定される包括的なアップデートで、ドライバー体験がさらに強化され、エネルギー効率も向上するという。
トラック運送業の現実に合わせて開発されたもので、現代のドライバーの作業環境を考慮し、幅広い業務に効率的かつ柔軟に応える。
スカニア及びトレイトングループの社長兼CEOを務めるのクリスチャン・レビン氏は次のように話している。
「スカニアは現状に満足せず、プレミアムな製品を提供し続けます。スカニア・ダイナミックの導入によりドライバー環境とエネルギー効率の両方がレベルアップします。既に機能しているものが、さらに良くなるのです」。
欧州トラックのキャブについて少しだけ補足すると、キャブの違いは基本的にはキャブマウント位置(およびマウント高の差によるエンジントンネルの高さ)による違いで、スカニアの場合、高い方から「S」「R」「G」「P」「L」となる。
いっぽう、欧州の新しい寸法規定で空力改善のための前後方向の延長が認められ、既存のキャブ骨格をベースにフロントデザインを改良したキャブが登場している。この規定によるキャブは、フロントウィンドウより下を突出させ、わずかに傾斜を持たせるウェッジ(クサビ)型のデザインが特徴で、代表的な車両はボルボ・FHに対する「FHエアロ」だろう。
スカニア・ダイナミックは、同社として初めてこの規定に対応したウェッジ型キャブと思われる。ただし、欧州の規定によるものなので、日本をはじめ法規の異なる別の市場での展開はあまり期待できないかもしれない。
燃費を2%向上、BEVではそれ以上の効率化も
スカニアは継続的な改善をスカニア・ダイナミックに反映したといい、細部へのこだわりを積み重ねて全体のパフォーマンスとエクスペリエンスを向上させた。
空力デザインによるエネルギー効率の向上は顧客に大きなメリットをもたらす。車両の仕様や運転方法にもよるが、総エネルギー消費量は約2%削減されるそうだ。特にバッテリーEV(BEV)の場合は電力の効率的な利用に繋がり、コストや排ガスの削減においていっそう高い効果が得られる。
フロント以外の外装で最も目立つアップデートの一つがデジタル式ミラー(カメラ&モニターシステム)の採用だ。視認性を向上するとともに、空気抵抗を低減し、エネルギー効率の向上に貢献する。運転席側および助手席側に2つのフルHDスクリーンを備え、特に後退時や狭い場所では従来型のミラーより高い視認性を実現する。
表示は標準、ズーム、広角モードに調整でき、スクリーンには調整可能な目盛り付き基準線が表示される。カメラは汚れを防止する位置に配置し、レンズの曇り、氷や雪の付着を防ぐためのヒーターも備える。
このほか、サイドスカートの延長、Aピラーの再設計、新しいドアハンドルなども空力改善のためだ。
ドライバーを最優先に考えたというキャブは、新しいカラーリングが高級感を演出している。リサイクル素材の使用率をさらに向上し、カーテンは100%リサイクル材に。壁と天井のパネルは70%リサイクル材だ。これにより資源の利用効率が高まり、環境負荷を低減する。新しいテキスタイルとともに、シート生地もアップデートされ、モダンで統一感のある車内環境となっている。


