信号のない横断歩道に近づくと、自転車に乗った人が渡ろうとしている。そんな場面で「止まるべきなのか? そのまま進んでいいのか?」と迷った経験があるドライバーは少なくないだろう。そこで今回は、道路交通法に基づき、横断歩道と自転車の関係について整理してみたい。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真=beeboys@Adobe Stock)
横断歩道を渡ろうと人を無視してそのまま通行すると即違反!
まず、歩行者から「どうぞ」と譲られた場合、ドライバーはどうすればいいのだろうか。最も安全で、かつ違反を避けやすい方法は、一時停止をしたうえで歩行者の意思を再確認することである。
まず横断歩道の手前で完全に停止する。その後も歩行者が繰り返し「どうぞ」と合図し、横断する意思がないことを十分確認しても、歩行者に横断歩道を渡らせた後、ゆっくり発進するのが望ましい。
最近では「歩行者優先」が社会全体で強く求められており、警察も横断歩道での取締りを強化している。「歩行者が譲ってくれたから大丈夫」という考えではなく、「まず止まる」が信号のない横断歩道の基本である。
譲り合いの精神は日本人の美徳として昔からあるが、やはり歩行者に「どうぞ」と譲られても、応じずにドライバーも手で「どうぞ」とジェスチャーをして歩行者に渡ってもらうように促したほうがいいだろう。
実際、2022年6月、東京都内で横断歩道にいる歩行者から「お先にどうぞ」と譲られたドライバーが、そのまま進行したところ、警察に道交法違反(横断歩行者妨害)で反則切符を切られる事案が発生した。
切符を切られたドライバーはその後弁護士を代理人としてドラレコ映像を署長宛てに送付し抗議した結果、およそ1カ月後に違反不成立となった。
ドラレコ映像には歩行者が明確に先に行ってくれと意志表示した映像が映っており、裁判になったとしても妨害とは認められないと思われる。
このように切符を切られる事案が発生する可能性が高いことから、歩行者にどうぞと譲られても、渡ってもらったほうが無難だ。
少し待つことで事故も違反も防げる。横断歩道では、法律だけでなく、歩行者の安全を最優先にする運転を心掛けたい。
横断歩道で自転車が渡ろうとして待っていたら譲るべき?
信号のない横断歩道に近づいたとき、最も重要なのは「歩行者がいるかどうか」である。道路交通法38条では、横断歩道を横断しようとする歩行者がいる場合、クルマは一時停止して通行を妨げてはならないと定められている。
一方、自転車は道路交通法上「軽車両」であり、基本的には歩行者ではない。そのため、横断歩道の前で自転車に乗ったまま待っている人がいた場合、法律上は歩行者と同じ扱いにはならない。
SNSなどでは「横断歩道で待っている自転車にも必ず止まらなければ違反になる」といった説明を見かけることがあるが、必ずしもそうではないのである。
ただし、ここで注意したいのは現実の交通状況だ。
自転車利用者の中には、そのまま横断歩道へ進入する人も少なくない。ドライバーが「自転車だから優先ではない」と判断して進行した結果、接触事故になれば重大な責任問題となる。法律上の優先関係と、安全運転上の判断は必ずしも一致しないのだ。
では、自転車から降りて押している場合はどうなるのか。道路交通法では、自転車を降りて押して歩いている人は歩行者として扱われる。
つまり、横断歩道の前で自転車を押して待っている人がいれば、クルマには歩行者と同じ停止義務が発生する。ドライバー目線で考えれば、「乗っているか」「押しているか」が大きな分かれ目になるわけだ。



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